
政策トレンドをよむ
「技能実習」「特定技能」外国人の東京一極集中の現況と対策|政策トレンドをよむ 第39回
NEW地方自治
2026.07.08
目次
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出典書籍:『月刊 地方財務』2026年6月号
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【政策トレンドをよむ 第39回】
「技能実習」「特定技能」外国人の東京一極集中の現況と対策
EY新日本有限責任監査法人 FAAS事業部
入山 泰郎
※2026年5月時点の内容です。
2027年4月の在留資格「育成就労」開始まで1年を切った。育成就労とは現在の「技能実習」に代わり導入される外国人の在留資格である。育成就労としての在留期間3年の経過後は、在留資格「特定技能」へと移行し、引き続き日本国内で働き、キャリアアップを図ることを前提とした制度となる。そして、注目されるのが、技能実習では原則禁止されている「転籍」が一定の条件の基に可能となることである。
現在でも特定技能においては転籍が可能である。そして転籍は主に地方圏から東京をはじめとした大都市圏への異動という形で生じる。そのため、転籍が自由であることは地方の企業や自治体にとって課題として認識されてきた。それが技能実習の後継でもある育成就労でも生じると予測されるため、地方の企業や自治体は人材の流出防止に力を入れる必要が生じている。
特定技能外国人の転籍による異動については統計上の実態が明らかではないが、技能実習から特定技能に移行する際の都道府県をまたいだ異動については統計数値が公開されている(1)。2025年6月末現在の特定技能1号外国人33万3123人のうち14万4402人が技能実習からの移行者であり、そのうち、都道府県をまたぐ住居地異動者は4万7432人だった。転入者数が転出者数を上回る「社会増」である15の都府県の社会増(転入超過)1万4202人のうち実に過半数の7824人が東京圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)であった。
注
(1)出入国在留管理庁(令和8年1月)「技能実習から特定技能へ移行時の地域間異動状況等」(第13回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議参考資料)
https://www.moj.go.jp/isa/content/001453332.pdf
図 特定技能1号への移行の際の都道府県をまたぐ住居地の異動における社会増(転入超過数)の都道府県別の状況

出典:出入国在留管理庁「技能実習から特定技能へ移行時の地域間異動状況等」注(1)より筆者作成
このように、東京など大都市圏への特定技能外国人の一極集中ともいえる状況が生じており、それは特定技能の期間や育成就労の転籍時の異動についても同様と考えられる。では、地方の企業や自治体はこれに対してどのような対応を取るべきであろうか。
そもそも東京一極集中は外国人だけに生じているのではない。日本人と同様、外国人労働者にとっても東京のような大都市における給与水準や都市的な生活・文化の多様性は魅力なのである。同じ母国出身者も集まっているので、同国人コミュニティも形成されている。加えて、外国人が「日本」として想起するのは大都市であり、日本の地方で働くことになった場合、もともとのイメージとのギャップに驚くこともあるという。
そこで、日本に渡航する前に、あらかじめ日本で働く地域の状況を伝えて認識ギャップが生じないようにするとともに、地域の魅力や方言などその地域で暮らし働くために必要な知識を伝えることが有効であると考えられる。例えば福井県では外国人介護人材を確保するため、ミャンマーの送出機関と連携して現地に「福井クラス」を設けた(2)。本クラスでは同県で働く予定の人材に対して、日本語や介護技術の教育に加えて、県内の介護施設で働く上で必要な同県の風土や福井弁などを教育してきた。また、宮崎県ではベトナムの農業大学と連携して大卒生・高卒生の農業人材を募集・選考し、同県での就労が決まった人材に対して同県の職員と受け入れ農家が講師となって、同県の農業技術、文化及び方言等を教える「宮崎授業」を行っている(3)。
注
(2)福井県(令和6年2月)「新たにミャンマーの送出機関等と連携し、現地に「福井クラス」を設置し、ミャンマー人介護技能実習生の受け入れ準備を進めます」(プレスリリース)
(3)EY新日本有限責任監査法人(令和8年3月)「地方公共団体の地方創生に資する外国人材の受入支援・共生支援に係る施策の推進等に関する調査報告書」(内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」内)
https://www.chisou.go.jp/sousei/about/gaikokujinzai/pdf/r7_gaikokujinzai_report.pdf
さらに、外国人従業員が地域と共生できるようサポートすることも必要である。地域の日本人とともに働き、暮らしていく上で、困ったことがあれば寄り添ってサポートし、互いの文化について楽しみながら学び合う機会を設けるのである。こうした施策を取っている企業からは、外国人の定着率が高いという話もよく聞く。自治体はこうした企業の取り組みをサポートし、また促進することが求められる。
外国人労働者も1人の個人である。職業を選択する自由が認められるのは当然であり、自分にとって最も快適で有利な土地で働きたいと思うのもまた当然のことである。こうした外国人労働者に対し日本渡航前から寄り添い、働きかけることが、東京等の大都市一極集中を回避する効果的かつ現実的な方策と考えられる。
#6:外国人材の受入れ・共生・活躍促進支援
https://www.ey.com/ja_jp/industries/government-public-sector/immigration-policy
#8:地域の人材確保・育成に向けた戦略策定・実行支援
https://www.ey.com/ja_jp/industries/government-public-sector/secure-and-develop-regional-human-resources
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月刊 地方財務 2026年6月号
特集:令和8年度地域力創造施策と地方財政措置 編著者名:ぎょうせい/編
販売価格:1,870 円(税込み)
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