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自治体最新情報にアクセス|DATABANK2025 月刊「ガバナンス」2025年8月号

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2025.09.02

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月刊ガバナンス8月号

月刊 ガバナンス 2025年8月号
特集1:人をあつめる極意
特集2:公務員の「傾聴力」
編著者名:ぎょうせい/編
販売価格:1,320 円(税込み)
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●所有者と利用者を結ぶ「森林バンク制度」を導入

 茨城県つくば市(25万5200人)は、森林所有者と森林を活用したい人とを結びつける「つくば市森林バンク制度」を導入した。同市には、筑波山をはじめ全域に大小さまざまな森林が点在しているが、森林所有者の高齢化等で維持管理が困難となった結果、住宅街や畑、道路沿いの森林が荒廃し、景観の悪化や不法投棄の増加、枝や雑草の越境による市民生活への悪影響などの問題が生じている。そこで、森林の所有者と利用希望者を結びつけ、森林を市民の活動の場などとして活用することで維持管理を図り、森林の保全につなげるのがねらい。

 具体的には、①貸出し等を希望する森林所有者は市に申し込み、市は所有者の森林の所在地や面積、整備状況、利用条件などの情報を「森林バンク台帳」に登録、②森林利用希望者は森林バンク利用者登録を市に申し込み、制度の趣旨を理解して森林の借り受け期間中に森林の維持管理ができると市が認めれば「森林バンク利用者台帳」に登録、③利用希望者が森林バンク台帳から活用したい森林を市に伝えると、市は所有者に仲介し、④所有者は利用条件などを提示し、所有者・利用希望者間で交渉して合意すれば、使用貸借契約等を結んで利用を開始――というのが流れ。刈払機取扱作業者安全衛生講習等の受講修了者を対象に「森林バンクサポーター」として登録し、所有者や利用者からの委託で下草刈りを行う仕組みも導入した。

 市は所有者と利用希望者の使用貸借等の契約には直接関与しない。一方、森林の所有者と利用者には草刈機等の購入費や機材レンタル料、森林バンクサポーター等への委託料などへの補助金を交付する。

 25年7月1日時点で登録している所有者は41人、森林154筆、利用希望者は7人。市は制度に関する説明会や交流会を定期的に開催して制度の周知を図っている。

(月刊「ガバナンス」2025年8月号・DATA BANK 2025より抜粋)

●所管事務調査と政策提言の実効化を目指す取組みを推進

 福島市(26万7900人)議会では、所管事務調査の継続的実施や、政策提言・施策の具体化に向けた活動に力を入れている。同市議会は、2014年に通年会期制を導入。その利点を生かし、現地調査、参考人招致、先進地への行政視察、市民との意見交換会など多様な手法を織り交ぜ、所管事務調査に取り組んでいる。

 調査期間は、最短では2か月弱で10回程度の委員会を開催し緊急的な提言につなげるものから、中間報告を経て中長期で報告を取りまとめるものまで多様。過去18年にわたり4つの常任委員会が68事項を調査(東日本大震災後の特別委員会分科会形式の調査も含む)。委員会開催は通算841回、1調査あたり平均9か月の期間で調査を実施してきた。昨年には同市初の政策討論会も開催した。

 調査結果は本会議で委員長報告を行った後、執行部に対しては政策提言、国・県に対しては意見書を提出。政策提言については一定期間経過後、対応状況等について執行部に報告を求めるほか、市民への情報提供にも努めることにしている。

政策討論会
政策討論会

(月刊「ガバナンス」2025年8月号・DATA BANK 2025より抜粋)

●産休等の代替教員を正規教員として事前に確保

 福井県(75万2400人)教委は、産休・育休等の取得が見込まれる教職員の代替として、25年度当初から正規教職員を配置する新たな加配制度を設けて教職員を確保した。近年の大量退職に伴う大量採用によって20代から30代の教員が増加し、産休・育休取得者や長期の男性育休取得者が急増。そのため、代替となる臨時的任用教職員の確保が困難となっていたことから、県の独自財源で正規教職員を年度当初に配置し、教職員の安定的な確保を図った。確保したのは15人で、一般教員13人と養護教諭2人。一般教員のうち8人は正規教員で、残る7人は臨時講師などとして雇用し、教員などの休職等に伴い4月から欠員が生じる県内の公立小中学校に配置した。

 教員が産休・育休等を取得した場合、県が代替教員として臨時講師等を学校などに紹介するが、年度途中で代替教員が不足することがあり、24年度は一時32人が不足して対応が求められた。そのような中、文部科学省は正規の教職員が産休・育休等取得者を代替する場合も給与の国庫負担の対象となるように制度を改正。ただ、国庫負担は勤務中の代替教員に限られ、待機中は対象とならないことから、さらなる拡充が望まれている。

(月刊「ガバナンス」2025年8月号・DATA BANK 2025より抜粋)

●「アルベルゴ・ディフーゾタウン」の認証を取得

 長崎県平戸市(2万8500人)は、イタリア発祥の観光モデル「アルベルゴ・ディフーゾタウン(ADT)」に認証された。イタリア語でアルベルゴは「ホテル」、ディフーゾは「分散した」で、アルベルゴ・ディフーゾは「分散型ホテル」を意味する。新たに建物を建てることなく、既存の家屋を活用してネットワーク化することで形成されるホテル形態のことで、地域・地区全体をホテルに見立て、レセプションや宿泊施設、レストランなどで構成される。分散型ホテル(AD)と分散されるおもてなし(OD)の認証に加え、ADやODを計画・推進して持続的な発展を目指す地域を認証するADTの3つのコンセプトからなる。

 城下町の歴史的街並みを擁する平戸市は、アルベルゴ・ディフーゾ協会長からのADTに適しているとの助言を受け、22年12月にADTスタートアップ認証自治体に認証されADT推進事業をスタート。空き家調査や計画書策定、住民説明会・ワークショップなどを進め、24年度には観光庁の歴史的資源を活用した観光まちづくり推進事業に採択されて、古民家を活用した賑わい拠点や宿泊施設、飲食店を改修して順次開業を進めている。それらが評価されて同市はADTに認証され、25年6月1日に認証式が行われた。ADTに認証された自治体は世界初となる。今後は地域全体でおもてなしを強化し、街に点在する客室やレストランなどを活用して、暮らしの中に泊まって平戸の人・歴史・風土など地域の魅力を存分に体験できる「旅」の提供に取り組んでいく。

アルベルゴ・ディフーゾタウン認証式
アルベルゴ・ディフーゾタウン認証式

(月刊「ガバナンス」2025年8月号・DATA BANK 2025より抜粋)

●庁内の行政DXを表彰「DXグランプリ」を開催

 茨城県日立市(16万7200人)は、庁内の優れた行政DXの取組みを表彰する「DXグランプリ」を開催し、25年4月4日に発表会を行った。受賞した課所長や担当者が副市長・部課所長全員に成果を発表することで、好事例の横展開を図るのがねらい。

 市では24年度の全庁を挙げた重点的取組みとして、行政DX(デジタル技術を活用した事務全般の変革を目指す包括的な取組み・行政手続オンライン化)を推進。その結果、24年度1年間の実績として、全課所が1件以上のDX化に取り組み、合計で297件の実装を成し遂げ、年間6000時間を超える作業時間を削減した。また、行政手続のオンライン化では、市公式ホームページとLINEから簡単にアクセスできるオンライン申請ポータルサイトを開設するとともに、602件の行政手続のオンライン化を図った。

 DXグランプリは、全課所での行政DXの取組みを対象に、①DXグランプリ賞部門(各部1件の代表を審査)、②個別賞部門(部代表以外を審査)の2つの表彰部門で行い、①は10件、②は52件が応募。審査の結果、①のグランプリには災害情報を管理できるアプリをキントーンで作成して関係部署で情報の可視化による閲覧・共有を図った消防本部警防課を選定し、準グランプリにはAI-OCRとLoGoフォームで入園申請に係る窓口予約等のオンライン化と申請書の自動取込を実装した保健福祉部子ども施設課を選定した。また、②では10件の取組みを表彰した。

DXグランプリの発表会
DXグランプリの発表会

(月刊「ガバナンス」2025年8月号・DATA BANK 2025より抜粋)

●市内図書館とのネットワーク化で議会図書室の機能を向上

 相模原市(71万7900人)議会図書室は、3月に市内4図書館と28か所の公民館等図書室を結ぶ市内図書館ネットワークシステムに加わった。これにより、市内図書館等の所蔵図書を議会図書室に取り寄せることができるようになったほか、蔵書管理体制を図書館と同レベルに引き上げることが可能となった。

 同市では議会基本条例で「議会図書室の充実」を定めているが、取組みが十分とは言えなかった。そこで、議会改革検討会で議会図書室の利便性を向上させる必要性について全会派で共有。議会運営委員会での確認を経て議会局が検討に着手し、①図書館ネットワークへの参加による蔵書の共有と適切な管理、②政策調査課職員1名の事務職から司書職への職種換えによる議会図書室機能の強化の2つの方向性を打ち出した。今回の図書館ネットワークシステムへの参加は①に基づくもので、②についても24年4月に司書職配置を実現した。現在は所蔵図書のシステム登録作業を進めており、26年度からは市民らが市内図書館等で議会図書室所蔵図書の貸出しを受けることが可能になる。議員の政策立案能力の向上につながる機能を発揮しつつ、市民に開かれた議会図書室となることを目指していく。

(月刊「ガバナンス」2025年8月号・DATA BANK 2025より抜粋)

 

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