確定申告Q&A
【確定申告Q&A】個人事業税の納付はいつ?申告が必要な人は?
地方自治
2025.02.11

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出典書籍:月刊『税』2025年2月号 別冊付録「地方税務職員のための 令和6年分確定申告期税務相談窓口対応の手引き」
確定申告に向けて知っておきたい「こんな場合は?」をQ&Aでご紹介。
地方税務職員に長く参考書として使用されている「地方税務職員のための 令和6年分確定申告期税務相談窓口対応の手引き」(月刊「税」2025年2月号
別冊付録)より引用しています。
この記事では、個人の事業税の納付時期、申告の必要がある者とない者について解説します。
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月刊 税 2025年2月号
別冊付録:地方税務職員のための令和6年分
確定申告期税務相談窓口対応の手引き
編著者名:ぎょうせい/編
販売価格:1,320 円(税込み)
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個人の事業税の納付時期

所得税は、一般的には、確定申告書の提出と同時に納付するとのことですが、個人の事業税については、いつ納付すればよいのですか。

納税通知書の交付をまって、その納税通知書に記載されているところに従って、その税金を納付する。

個人の事業税は、普通徴収の方法によって徴収される。
普通徴収とは、地方税法において、地方団体(都道府県又は市(区)町村をいう)の徴税吏員が納税通知書を納税者に交付することによって地方税を徴収することをいうと規定されている(地法1①七)。
したがって、個人の事業税については、都道府県の徴税吏員からの納税通知書の交付をまって、その納税通知書に記載されているところに従って、その税金を納付することになる。なお、その納付の時期については、その都道府県の条例で定められているが、一般的には、8月16日から同月末日まで、及び11月16日から同月末日までの2回とされている(地法72の51①)。
納税通知書とは
納税者が納付すべき地方税について、下記を記載した文書でその地方団体が作成するものをいう。
・その賦課の根拠となった法律及びその地方団体の条例の規定
・納税者の住所及び氏名
・課税標準額
・税率 ・税額 ・納期
・各納期における納付額
・納付の場所並びに納期限までに税金を納付しなかった場合において執られるべき措置及び賦課に不服がある場合における救済の方法
(地法1①六)
個人の事業税の申告書を提出する必要のある者とない者

個人の事業税の申告書は、全ての個人事業者が提出しなければならないのですか。それとも、所得税のように、前年中の所得が所得控除額以下である者等については、その提出は必要ないこととされているのですか。

前年の12月末日まで、都道府県内において第1種事業、第2種事業又は第3種事業を行っていた個人は、所得税の確定申告書又は個人の住民税の申告書を提出した者を除き、3月15日までに、個人の事業税の申告書を事務所又は事業所所在地の都道府県税務事務所長に提出しなければならない。
ただし、前年中の事業所得及び不動産所得の金額が事業主控除額以下である個人は、提出する必要はない。

前年の12月末日まで、都道府県内において第1種事業、第2種事業又は第3種事業を行っていた個人
令和6年分の所得税の確定申告書又は個人の住民税の申告書を提出期限内に提出した個人を除いて、その都道府県内に事務所又は事業所を設けて第1種事業、第2種事業又は第3種事業を行っている個人は、それらの事業に係る事業所得の金額及び不動産所得の金額の合算額が事業主控除額(年290万円。ただし、事業を行っていた期間が1年に満たない場合には月割り額。以下同じ)を超える場合は、令和7年3月15日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、その事務所又は事業所所在の都道府県税務事務所長に提出しなければならないこととされている(地法72の55①)。
① 前年中の事業の所得の金額
② 前年において生じた譲渡損失の金額
③ 事業専従者に関する事項
④ その他事業の所得の計算に必要な事項
年の中途で事業を廃止した個人
年の中途で事業を廃止した個人で事業所得の金額及び不動産所得の金額が、290万円(事業主控除額)にその事業を廃止した日の属する年の1月1日からその事業廃止の日までの月数を乗じて得た額を12で除して算定した金額を超えるものについては、
・その事業の廃止が納税義務者の死亡による場合にはその廃止の日から4月以内に
・その他の理由による場合には1月以内に
次に掲げる事項を記載した申告書を、その事務所又は事業所所在の都道府県税務事務所長に提出しなければならないこととされている(地法72の55①かっこ書)。
① 1月1日から事業廃止の日までの期間中の前年中の事業の所得の金額
② 1月1日から事業廃止の日までの期間において生じた譲渡損失の金額
③ その他事業の所得の計算に必要な事項
まとめ
■提出の必要がある者
このように、令和6年の12月末日まで、都道府県内において第1種事業、第2種事業又は第3種事業を行っていた個人は、令和6年中の事業所得の金額及び不動産所得の金額が事業主控除額を超える場合は、令和6年分の所得税の確定申告書又は個人の住民税の申告書を提出期限内に提出したときを除いて、令和7年3月17日までに、個人の事業税の申告書(地規14の2様式)をその事務所又は事業所所在の都道府県税務事務所長に提出することになる。
■提出の必要がない者
したがって、令和6年中に事務所又は事業所を設けて第1種事業、第2種事業又は第3種事業を行っていても、その事業所得及び不動産所得の金額が事業主控除額以下である場合においては、個人の事業税の申告書は提出する必要はないことになる。
なお、個人の事業税の申告については、都道府県税務事務所長が同税を賦課決定をするに際して、適正な所得計算又は税額計算を行うための課税資料を得るために納税義務者に提出を義務付けているものである。
▼「確定申告期税務相談窓口対応の手引き」では、他にも以下のような解説を確認できます。
・個人の事業税の申告書の提出先と提出期限
・所得税の確定申告書を提出した者の事業税の申告の要否
・赤字の場合の申告の要否
・申告する所得金額とその計算方法
・所得税における所得計算の例によらない事項
・個人の事業税における所得控除の種類と控除の順序
・所得税の確定申告書に付記する個人の事業税に関する事項
・「所得税で控除対象配偶者などとした専従者」欄に記入する内容
・「事業税」欄の「非課税所得など」欄に記入する内容
・「事業税」欄の「損益通算の特例適用前の不動産所得」の欄に記入する内容
・「不動産所得から差し引いた青色申告特別控除額」の欄に記入する内容
・「事業用資産の譲渡損失など」の欄に記入する内容
・「前年中の開(廃)業」の欄に記入する内容
・「他都道府県の事業所等」の欄に記入する内容
「確定申告期税務相談窓口対応の手引き」
全目次はこちら!(PDF)
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