ガバナンスTOPICS【イベントレポート】
【地域活性化】寺本英仁氏が登壇。3自治体の施策事例/イベントレポート
NEW地方自治
2024.12.26
(『月刊ガバナンス』2024年12月号)
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【ガバナンス・トピックス】
地域活性化のための事例や情報を共有——自治体情報交換会2024
㈱ローカルガバナンスとプラットフォームサービス㈱は10月4日、プラットフォームサービス㈱が運営を行う「ちよだプラットフォームスクウェア」を会場に、「行政課題解決のための自治体情報交換会2024」を開催した。当日は首長や地域商社の職員が地域活性化の事例を紹介。その後、参加者も交えて闊達な意見交換を行った。
若手から地域を元気に
はじめに、㈱ローカルガバナンス代表取締役の寺本英仁氏が登壇。
寺本英仁(てらもと・えいじ)
㈱Local Governance代表取締役
ちよだ地方連携ネットワーク地方連携特命官
1971年島根県生まれ。東京農業大学卒業後、石見町役場(現邑南町)に入庁。「A級グルメ」の仕掛け人として、ネットショップ、イタリアンレストラン、食の学校、耕すシェフの研修制度を手掛ける。NHK「プロフェショナル仕事の流儀」で紹介される。著書に『ビレッジプライド~「0円起業」の町をつくった公務員の物語』、藻谷浩介氏との対談本『東京脱出論』など。22年3月末で役場を退職し、㈱Local Governance 代表取締役に就任。
「地方が元気になるには、まず自治体の若手職員が元気になること」といい、今の自治体の問題として若手職員が意見をいい出しにくい点を指摘した。「理由の一つには、意見をいうための知識や理論を若手が整えられていないことがあるだろう。本会が、スキルを身につけたり風通しの良い役場をつくるきっかけとなれば嬉しい」と期待を込めた。
続いて、プラットフォームサービス㈱代表取締役の丑田俊輔氏が「本施設の開設から20年。これまで多くの企業家や自治体職員に活用いただいた。23年4月からは新たに、『地方自治体職員育成研修プログラム』として長野県高森町の若手職員を2年間受け入れ、研修を行っている。今後も真の意味での協創を助け、新たなプロジェクトを生み出す場でありたい」と展望を話した。
当日は自治体職員を中心に多くの人が集まり、意見を交わした。
自治体の事例紹介と意見交換
次に、寺本氏が地域力創造アドバイザーとして関わる3自治体の事例を共有した。
①『コミュニケーション能力』を重視した研修
まず高森町の壬生照玄町長が町の職員研修について紹介。「人口1万2000人に対し、職員108人。ある程度町民にも協力をお願いする形でないと運営は難しい。そうした場面で必要になる『コミュニケーション能力』を重視し研修に取り入れている」と説明した。寺本氏を講師に招き、氏の事業の分析やグループワークなどを通じて、提案力や対人力向上を図っているという。
②「自立した地域が強い日本を作る」――多彩な施策
北海道鹿部町の盛田昌彦町長は「自立した地域が強い日本をつくる」と話し、子どもたちのふるさと学習、地域おこし協力隊や地域活性化企業人の受け入れ、地場素材を生かしたA級グルメの開発など、多彩な地域活性化の施策を紹介した。また、職員の約半数にあたる35人が参加した若手人材育成研修では、地域課題の抽出から政策立案、プレゼンまでを実施。予算査定の場などでもその効果が表れていると手ごたえを示した。
③地域商社で取り組むふるさと納税
(一社)北広島町まちづくり会社はなえーる事務局長の沖中満春氏は、広島県北広島町での地域商社の活動を紹介。多様な地域課題をより迅速に、自由な発想で解決するため、町主導で設立に踏み切ったという。「22年5月に設立し、9月からふるさと納税に取り組んだ。それまで東京の企業に委託していたが、経済を町内で循環させること、地域に根差した新商品の開発などを目指した」
160〜80程度だった返礼品登録数を半年間で250まで増やし、新規事業者も27件ほど開拓。「今後も会社として自走しながら、まちのPRを続けたい」と意欲を見せた。
最後に、登壇の内容やその他の自治体課題(DX、人事評価など)について、参加者も交えた自由な意見交換が行われた。
(本誌/森田愛望)