【リレー連載】「自治体×デジタル」を考える 東西南北デジデジ日記

千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

東西南北デジデジ日記 vol.13 今週の担当:【東】千葉大右

地方自治

2022.01.06

東西南北のそれぞれで奮闘する現役自治体職員と元自治体職員4名によるリレー日記。タイトルに冠しているとおり、テーマはデジタルなれど、小難しいこと抜きに、多彩な切り口で「自治体×デジタル」を考えてみよう、な日記です。2022年も、ゆるっとまいります。よろしくお願いいたします!

―――――2022年1月6日 Thu.―――――――

今週の担当:【東】千葉大右

 

新年のご挨拶

 新年あけましておめでとうございます。いつまで続くかわかりませんが、本年もデジデジ日記をよろしくお願いいたします。
 さて、vol.9では、BPRについて語ったあと、業務改革モデルプロジェクトの結果を今回に持ち越しました。果たして結果はどうだったのか、振り返ってみたいと思います。(業務改革モデルプロジェクトについては、総務省のウェブサイトをご覧ください。)

 

書かない窓口

 業務改革モデルプロジェクトに応募した事業名は、「窓口業務プロセス改革事業」でした。この事業の主な取り組みは以下の4点です。

①本庁における申請書作成と手続き案内のワンストップ化
②本庁における証明事務の集約とアウトソーシング化
③本庁と出先窓口の入力業務集約とアウトソーシング化
④ICTを活用した出先窓口の取扱業務拡大

 当時、マイナンバー制度の開始によって住民異動窓口の負荷はこれまで以上に大きくなり、ただでさえ非常勤職員(現在は会計年度職員)に依存していた窓口運営は、もはや限界を迎えているのではないかと感じられる有様でした。窓口の非常勤職員は度々バックヤードの常勤職員にエスカレーションをし、その対応に時間を取られた常勤職員の時間外が積みあがっていく。そんな負のスパイラルに陥っていたのです。

 そこで、窓口の最前線を担う非常勤職員と、それを支える常勤職員の負荷軽減を目的として、抜け漏れのない対応をナビゲーションという仕組みに託すのが「窓口業務プロセス改革事業」でした。事業の柱となるのは①であり、実現のために導入した仕組みが「書かない窓口」です。これはすでに他団体で運用されていた仕組みを参考に、提案事業者とともに新たなシステムを作り上げたものでした。その過程では当然現行業務の大幅な見直しが必要であり、そのためにBPRを実施したのです。

 なお、書かない窓口のその後については今回は触れませんが、他のBPRと同様、思うような成果を出せていないことはお伝えしておきます。

 

その他の取り組み

 ②③についてもBPRを実施しました。机上では効果を示すことができましたが、そのまま実装することはできず、BPRは検証だけで終わってしまいました。一番大きな原因は、ステークホルダーのコンセンサスが十分でなく、そのまま実装する環境を作れなかったことです。取り組みの名称に「本庁における」や「本庁と出先窓口」とわざわざつけているのが、その苦労の跡とお察しください。

 ④についてはBPRにすら至らず、現状の課題認識だけで終わっています。このコンセプトは「リモート窓口」と名称を変え、現在も実現に向けた取り組みが続いています。

 また、BPR自体も、業務改革モデルプロジェクトを実施した所属以外に広がることはありませんでした。事業の実施にあたって入手したBPR用ソフトウェアもいつしか使われなくなり、その存在も忘れられていったのです。

 

BPRの復活

 結局あれもできない、これもできないというさみしい結果だけが残ったかに思えました。実際そうでしたし、私も異動したため、それ以上追いかけることもできませんでした。ところが最近になって、にわかにBPRが復活の兆しを見せています。理由は自治体システムの標準化とオンライン申請の推進です。特にオンライン申請は、国がチョイスした26手続きについて令和4年度中の実現が求められています。

 この26手続きについて、利用者はもとより職員にとっても使い勝手のよい仕組みとなるよう、業務フローを明らかにし、オンライン申請にも適合した業務フローを構築しようという取り組みが始まりました。その際、担当者が参考としてくれたのが、業務改革モデルプロジェクトの成果物です。また、前述のBPR用ソフトウェアも、すぐに使える状態だったためさっそく活用してくれています。

 

種を蒔き続ける

 一度は潰えたかに見えましたが、BPRは場所と形を変えて復活しました。今回の取り組みがどのような成果をもたらすかまだわかりませんが、種を蒔くことの大切さを再認識するに至りました。そして、立場や役割が変わっても、今後も種を蒔き続けていこうと心に誓った次第です。新たな取り組みをスタートしてくれた職員には、この場を借りて感謝申し上げます。

 たまにはいい話もいいもんです。それではまた来週。デジデジ!

 

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