解説 在留カード等と個人番号カードの一体化による特定在留カード等の導入と市区町村における事務について/渡邉 健太郎(出入国在留管理庁在留管理支援部在留企画室調整官)

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2026.09.10

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この資料は、地方公共団体情報システム機構発行「月刊 J-LIS」2026年6月号に掲載された記事を使用しております。
なお、使用に当たっては、地方公共団体情報システム機構の承諾のもと使用しております。

解説 在留カード等と個人番号カードの一体化による特定在留カード等の導入と市区町村における事務について
出入国在留管理庁在留管理支援部在留企画室調整官
渡邉 健太郎

はじめに

 2024年6月21日、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律(令和6年法律第59号。以下「改正法」という。)が公布されました。改正法は、在留カード等と個人番号カードの一体化を図るため特定在留カード等を導入するものであり、今年6月14日に施行されることとなっています。

 本稿では、市区町村における事務との関係を中心に制度の概要をご紹介するものです。

 なお、本稿のうち、意見にわたるものは私見です。

改正法制定までの経緯

 2020年12月25日、個人番号カードの普及促進が政府全体の課題となっていた中で、「デジタル・ガバメント実行計画」が閣議決定され、「マイナンバーカードの機能強化」に係る取り組み方針として「在留カードとマイナンバーカードとの一体化」が掲げられました。これにより、いわゆる「マイナ保険証」や「マイナ免許証」に続き、在留カード等と個人番号カードが一体化した「特定在留カード等」の導入が政府全体の方針となりました。

 その上で、外国人の利便性の向上と行政運営の効率化が政策目的と整理され、冒頭に記した改正法の成立に至ったものです。個人番号カードが一体化された在留カードは「特定在留カード」、特別永住者証明書は「特定特別永住者証明書」と呼ばれ、特定在留カード等と総称しています(図ー1)

図-1 券面イメージ
券面イメージ画像

制度の概要

 特定在留カード等は、主となるのは出入国在留管理庁長官が作成・交付する在留カード等であって、そこに地方公共団体情報システム機構(以下「J-LIS」という。)が個人番号カードとしての機能を付加するものとされています。これにより、特定在留カード等は在留カード等の一種であると同時に、一定の法令の適用において、いわば「みなし個人番号カード」としての性質を併有するものとなっています。

 なお、申請は任意とされています。

申請及び交付の手続き

 特定在留カードは、地方出入国在留管理局(以下「地方入管」という。)における各種申請・届出や市区町村における住居地の届出に併せて交付申請を行うことができることとされています。また、特定特別永住者証明書については、そもそも従来から特別永住者証明書に係る各種手続が市区町村でほぼ完結していることから、交付申請も市区町村において行うこととなります。

 なお、現に在留カード等を保有する外国人が、自発的に特定在留カード等の交付を希望する場合には、在留カード等の交換希望による再交付申請に併せて特定在留カード等の交付申請を行うという方法で、改正法の施行当初から特定在留カード等の交付を受けることができます。

市区町村における事務

 市区町村においては、主に①市区町村における交付申請の受付、②申請書IDの発番等、③手数料の徴収、④交付の四つの事務を実施していただくこととなります(図-2)。また、特定在留カード等の導入とは別に、⑤住居地等のICチップへの記録を実施していただくこととなりますが、これについては後述します。

図-2 特定在留カード等交付業務フロー(特別永住者の特別永住者証明書諸手続)
フローのイメージ

 順に見ていくと、①市区町村における交付申請の受付では、特定在留カード等の交付を希望する外国人から申請書を徴するとともに、申請の場面に応じて、「特定在留カード等オンライン申請システム」(現在の特急発行専用オンライン申請システムに近いもの)への入力又は申請書類の入管庁の発行拠点への送付を行っていただきます。

 ②申請書IDの発番等では、出入国在留管理庁(以下「入管庁」という。)から情報連携端末に送信される各種依頼や通知に応じて、いわゆる統合端末により申請書IDの発番や運用状況の更新を行っていただきます。

 ③手数料の徴収では、特定在留カード等の交付手数料(国に対する手数料)を、収入印紙を貼付した納付書を徴する方法により徴収していただきます。ただ、初めて特定在留カード等交付申請を行う場合は、手数料が不徴収となることから、特に施行後当面の間は手数料を徴収していただく場面は少ないと見込まれます。このほか、J-LISにおいても、個人番号カードとしての機能を付加する措置及び電子証明書の発行に係る手数料を徴収するものと承知しておりますので、J-LISからの通知等も併せてご確認ください。

 ④交付については、入管庁が委託する発行事業者から送付された特定在留カード等を、本人確認及びICチップへの交付日の記録を実施した上で、申請人に交付していただきます。ただ、特定在留カード等は、市区町村窓口で交付する場合を含め、すべて個人番号カードの特急発行レーンの枠組みを用いて作成されます。このため、交付前処理や暗証番号の設定、電子証明書の書込みを行っていただく必要はありません。

ICチップへの住居地の記録

 現行の在留カード等のICチップには、在留カード等が交付された時点の住居地のみが記録されています。新たな住居地が届け出られても、裏面の住居地欄に追記していただいているものの、ICチップには記録いただいていません。

 改正法によりこの取扱いが変更になり、市区町村における住居地の届出の際にも、現行様式の在留カード等を含めたすべての在留カード等について、ICチップに新住居地及び届出年月日を記録していただくこととなりました。

 なお、ICチップへの記録の対象となるのは、改正法の施行期日以降に届出があった住居地であり、それ以前の届出に係る住居地までさかのぼって記録していただくものではありません。

主な留意点

 特定在留カード等は、2枚のカードが1枚に一体化されたものですが、その交付によって、在留関連情報と個人番号に紐付けられた各種行政情報が連携されたり、入管庁が個人番号や外国人に係る情報を入手したりできるようになるわけではありません。

 確かに、入管庁では、個人番号を用いた行政機関間の情報連携の仕組みを活用することで、厳格な在留審査や提出書類の省略による外国人の負担軽減などを実現すべく取り組んでいるところです。しかし、この取り組みの対象は、個人番号が付番されている外国人、つまり住民基本台帳に記録されたすべての在留外国人であり、特定在留カード等の交付を受けているか否かとは関係がありません。

 また、冒頭にも記したとおり、特定在留カード等の保有は任意です。個人番号カード機能のない在留カード等を引き続き保有し続けることも可能であり、その際に新たな手数料が生じることもありません。

 これらの点は、制度を理解する上での重要なポイントであるとともに、外国人住民などから質問が寄せられることも予想されるため、ぜひともご承知おきいただきたいと考えています。

制度の効果

 前述のとおり、特定在留カード等の導入は、外国人の利便性を向上させるとともに、行政運営の効率化を目指す趣旨に出たものです。

 すなわち、現在、中長期在留者が保有する個人番号カードの有効期間は、在留期間の満了日までとなっており、地方入管において新たな在留資格を許可された場合には、市区町村窓口において個人番号カードの有効期間の変更手続をとる必要があります。しかし、特定在留カード等では、在留カード等としての有効期間と個人番号カード機能の有効期間が原則一致していることから、手続きのワンストップ化が図られます。

 また、市区町村の視点では、現在、外国人の新規上陸後の転入届(みなし住居地届)の提出に併せて個人番号カードの取得を案内されていると思われます。この機会に、外国人に特定在留カードを取得していただくことで、その後当該外国人が特定在留カード等の保有を継続する限り、上記のとおり、地方入管の手続きとのワンストップ化によって、市区町村における個人番号カードの交付や有効期間の変更手続を行う必要がなくなることとなります。他方、本制度の導入により、市区町村の現場において新たな事務を取り扱っていただくこともありますが、政府全体の方針として個人番号カードの普及促進が求められている趣旨に鑑み、格段のご協力をお願いします。

 

Profile

渡邉 健太郎(わたなべ・けんたろう)
2007年法務省入省後、本省・本庁(参事官室、警備課)での企画・立案業務のほか、入管の現場である東京出入国在留管理局で入国審査官及び入国警備官として勤務。最近では、在大韓民国日本国大使館(一等書記官兼領事)、法務省大臣官房付を経て、2026年4月から現職。

 

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