そこが知りたい!クレーム対応悩み相談室

関根健夫

クレーム対応悩み相談室2|すぐ怒鳴るお客さまに、 どう対応したらいいでしょうか【カスハラ対応】

NEWキャリア

2025.04.24

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出典書籍:月刊「ガバナンス」創刊20周年記念別冊付録『そこが知りたい!クレーム対応悩み相談室』
※本書は月刊「ガバナンス」2019 年4月号〜2020 年4月号までに掲載した連載をまとめたものです(一部加筆・修正)。

自治体職員のためのトラブルの対処法を学ぶ!カスハラ対応図書特集

Chapter2 すぐ怒鳴るお客さまに、どう対応したらいいでしょうか


2025年4月1日、東京都などで「カスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例」が施行されます。
これにより、企業や自治体にも適切な対応策の整備が求められています。

本連載では、月刊『ガバナンス』の連載をまとめた別冊付録『そこが知りたい!クレーム対応悩み相談室』の内容を引用して掲載。
人材教育コンサルタントの関根健夫さんが自治体でのクレーム対応術を解説しています。

今回は怒鳴るお客さまへの対応をご紹介します。
カスハラ・クレーム対応の参考としてチェックしてください!

この記事で分かること

・怒鳴るお客様の意図・背景
・怒鳴るお客様への対応方法・例文
・怒鳴るお客様への質問の例文

Bさんは大声で怒鳴るお客さまに、冷静に対応できない、どうしたらよいかと悩んでいます。

人材教育
コンサルタント
関根さん

① 怒鳴られたら、その背景を考えてみる ② 怖かったら、2人以上で対応する


怒鳴られると体が震えてしまう

B クレームに対応していると、お客さまの中には、すぐに大声を出したり、怒鳴ったりする人がいます。大声を出されると、怖くて緊張してしまうんです。どうしたら良いでしょうか。

関根 誰でもそうだと思いますよ。

B 普通のお客さまなら冷静に話ができるのですが、怒鳴られると体が震えてしまい、何と言ったらいいのか分からなくなるんです。

関根 それは当たり前の反応だと思います。普段の生活で人に怒鳴られることは、あまりないですからね。普段と違う状況に置かれれば、誰だって緊張しますよ。気にしないことが一番です。

B それはそうなのですけれど。そうは言っても……。

関根 特にクレーム対応で相手が怒鳴ってくるのは、こちらを威圧する意図があることが少なくありません。多くの場合、利害があって「認めろ」「なぜダメなのか」「おかしいだろう」といった意味を含んでいます。

B 確かにこちらの説明に対して反論されるケースが多いです。

関根 大きな声を出すか出さないか、どんな言い方をするかは、相手の自由ですから、それだけで、悪質と決めるわけにはいきません。意図的に大声を出し、名誉棄損や脅迫にあたるような場合であれば別ですが、それは特異なケースではないでしょうか。そこまで いかなくても大声で威圧することは品性に欠ける行為です。ただ、現実の社会の中には、いろいろな人がいて、いろいろな場面がありますからね。

私も以前、不動産会社でマンションの建築工事現場にいたことがあります。当時は新入社員だったので、工事現場の職人さんたちが大きな声で怒鳴り合っているのは、結構怖かったですね。今と時代も違いますが、何かあると「何やってんだ。バカやろう!」などと言われましたからね。でも、そういうものなのだと思えば、次の現場からは慣れました。

B 結局、慣れですか。

関根 すべてではありませんが、一つの対処法ではあります。一般論としては大きな声で怒鳴るべきではありませんが、例えば建築工事の現場では、少しのミスで命を落とすことになりかねませんし、仕事上のミスや遅れは次の工程を担う職人さんの予定を狂わせ、迷惑をかけることになります。怒鳴るという行為の背景には、そうならないようにという強い意思や事情もあったということです。

B 確かにそうかもしれませんが、役所の窓口で怒鳴るのは、意味が違うのではないでしょうか。

関根 もちろんです。大きな声を出して人を威圧することで、自分のウップンを晴らしたり、何かを認めさせようとするのは、あってはなりません。ただ、その人にもそうせざるを得ない何らかの背景や事情があるとすれば、それは社会の一つの側面と考えることができるのではないでしょうか。役所の窓口はいろいろな立場の方が、自分ではどうにもならないことを相談に来ています。それは何かということです。

質問してみるのも一つの手段

B 何となく言いたいことは分かるのですが……。

関根 大声で怒鳴ってくる人は、確かに怖い。そこは仕事として慣れ、頑張るしかありません。ただ、そういう人にも、よほどの事情や悔しい気持ち、生活環境などの問題が何かあるかもしれません。だから、黙って言われっぱなしに聞くのではなく、「いくつか質問させてください」などと積極的に聞いてもいいかもしれませんね。

B ますます怒鳴られるのではないですか。

関根 相手はそれぞれ違う人ですからすべてうまくいくわけではないですが、お客さまの言い分をよりよく知るために質問するのですから、堂々と聞けばいいのです。答えてくれたら「へえ、そうだったのですか、大変でしたね」など共感の反応を示してもよいと思います。怒鳴る人は、自分の言い分が通じていないからイラついていることも多いので、よく聞き、質問と共感を繰り返すことでトーンが下がってくるかもしれません。

B それでもトーンが下がらなかったらどうしましょう。

関根 多少の軋轢を乗り越えて「大きな声を出さないでください」 「そういう言い方はやめてください」などと制止する勇気も必要かもしれませんね。また、恐怖を取り除く意識で、2人対応、複数対応に持ち込む方法もあります。

B 私は、いつも一人で対応していました。

関根 怖い、心細いなどの状況であれば、誰かに同席してもらった方がいいのではないでしょうか。隣に一人でも座ってくれていれば、大分心強いものですよ。

B がんばってみます。

 

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