そこが知りたい!クレーム対応悩み相談室
クレーム対応悩み相談室|長い話のお客さまを、どうやって切り上げたらいいでしょうか【カスハラ対応】
NEWキャリア
2025.04.22

この記事は5分くらいで読めます。

出典書籍:月刊「ガバナンス」創刊20周年記念別冊付録『そこが知りたい!クレーム対応悩み相談室』
※本書は月刊「ガバナンス」2019 年4月号〜2020 年4月号までに掲載した連載をまとめたものです(一部加筆・修正)。
Chapter1 長い話のお客さまを、どうやって切り上げたらいいでしょうか
2025年4月1日、東京都などで「カスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例」が施行されます。
これにより、企業や自治体にも適切な対応策の整備が求められています。
本連載では、月刊『ガバナンス』の連載をまとめた別冊付録『そこが知りたい!クレーム対応悩み相談室』の内容を引用して掲載。
人材教育コンサルタントの関根健夫さんが自治体でのクレーム対応術を解説しています。
今回は長い話のお客さまの切り上げ方をご紹介します。
カスハラ・クレーム対応の参考としてチェックしてください!
この記事で分かること
・長い話の切り上げ方・例文
・話を切り上げる時の考え方
・お客様に納得してもらうコツ
・お客様を怒らせない言い方・例文
窓口対応をしているAさんは、話の長いお客様への対応に困っているといいます。

人材教育
コンサルタント
関根さん

① 長いお客さま対応は正当な理由を述べて断る ② 詫び言葉を使って言い続けることも一方法
話を切り上げる「正当な理由」
A 役所の窓口でお客さまに対応していると、話の長いお客さまにつかまってしまうことがあって困っています。会話をどのように切り上げればいいのでしょうか。
関根 コミュニケーションは相手がありますから、こちらの思うように進むわけではありませんね。
A ただ、他の仕事もありますし、一人のお客さまにいつまでも関わるわけにはいきません。
関根 こちらの事情もはっきり伝えたらいかがですか。
A 「もうやめてください」と言うのですか。
関根 言い方は考えた方がいいですが、こちらとしては正当な理由をもって話を切り上げたいという意思を表すことが大切でしょう。
A 話を切り上げる、正当な理由とは何でしょうか。
関根 一言でいうと、十分な対応をした、ということです。
A 十分な対応といっても、難しいですよね。時間で考えればいいですか。
関根 十分な対応をどう解釈するかは、人によって判断が分かれます。何分という規定があるわけではありませんし、問題の内容によって5分も話せば十分ということもあれば、1時間話をしても結論に至らないこともありますよね。
A どう考えたらいいですか。
関根 そこは常識論ではないでしょうか。たとえ先方と一致しなくても、こちらの思う常識を主張すればいいのです。常識というのは、世間の多くの人に理解してもらえると思われる概念ですから、その主張を続けることです。
A 例えばどんなことですか。
関根 「私は同じ説明を5回繰り返しました。これ以上、説明しても結論は変わりませんので……」とか、「同じ話を5回聞きました。お気持ちは分かりました。ご意向を上司に伝えますので……」という主張は正当な理由と言えるのではないでしょうか。
ほかにも「この後、会議がありますので……」とか「○時にお客さまのところへ伺う予定があります。あと〇分で出発しなければなりません……」といった言い分でもいいでしょう。
A なるほど。
関根 役所によっては「お一人、30分以内でお願いしています」などと協力を求めているところもありますよ。
A それで納得されますか。
関根 そこは何ともいえません。先方が納得してくれなくても、多くの人に “そういうことなら仕方がないな” と思っていただけることを主張するのがポイントです。
A 確かにそうですね。
言い方に工夫も必要
関根 仮に意見が一致しなくても正当な理由をもって主張することが大切です。まずははっきりと主張しましょう。ただし「何かと忙しいので」「他にもやることがありますので」などはあいまいです。先方はいい加減な理由をつけられた、自分を尊重していない、と気分を害するかもしれません。
A 怒る人もいそうですね。
関根 そうかもしれません。でも、相手が怒るからといって、言いたいことが言えないのは良くありません。争いごとを避けたい気持ちはわかりますが、こちらの主張はきちんと伝える必要があるでしょう。
A それはそうなのですが……。
関根 もちろん言い方は工夫しなければなりません。そうであれば、少しでも怒られないで済む言い方を考えましょうよ。コミュニケーションに正解はありませんので、その場で考えながら話すしかありませんが、例えば、詫び言葉を使うというのも現実的です。
A どういうことですか。
関根 つまり「申し訳ございません。この話はここまでにさせてください」 「このあと、○○があります。申し訳ございません」などとお断りするわけです。これを何度も繰り返します。場合によっては「すでに十分な説明をいたしました」 「これ以上お話ししても結論は変わりません」などと展開し、前後に「申し訳ございません」を付けて言い続けます。これは、自分の非を認めた謝罪ではありません。要望に応じられず、この状態を続けることができずに、という意味の心配りです。
A 分かりました。やってみます。
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