【特別企画】業務改善事例 給与支払報告書のデータ入力業務を効率化 ——夜間にAI-OCRを実施し、トータルで1.3倍の生産性向上を実現
地方自治
2024.11.08
(『月刊 地方財務』2024年11月号)
【特別企画】
業務改善事例 給与支払報告書のデータ入力業務を効率化
——夜間にAI-OCRを実施し、トータルで1.3倍の生産性向上を実現
株式会社 徳島データサービス(徳島県徳島市)
年度末に向け作業が立て込む1月〜3月。各市町村の関連部署が抱える業務の一つが給与支払報告書の処理だ。給与支払報告書は、全事業者が過去1年間、従業員に支払った給与額を各市町に報告するための書類。各市町村は、事業者が提出した給与支払報告書の内容をもとに住民税額の計算を行う。多忙な時期なうえに大量の物量をともなう業務ということもあり、多くの市町村では、給与支払報告書のデータ入力業務について、一部または多くを委託している。しかし取り扱う書類の性質上、その処理業務にミスは許されず、また高精度のみならず高いセキュリティ・信頼性も求められる業務となっている。
大量の給与支払報告書をどうデータエントリーするか
㈱徳島データサービス(徳島県徳島市)も、そうした給与支払報告書のデータ入力業務の受託企業だ。徳島県をはじめ県内外市町村と数多くの取引実績がある。
ただでさえ枚数の多い給与支払報告書。同社では、「1日あたり約2万件を処理しています」と取締役の中野秀一さんは言う。加えて年度末が納入期限となっているが、1月〜3月のみ人員を確保することが難しく、自治体によって様式・紙質もバラバラ。そのため、「限られた期間で、大量の書類をデータエントリー(紙情報をPCに入力する作業)するには、効率的に作業を進める必要がありました」と中野さんは語る。そこで同社が導入したのが、㈱PFUのスキャナー「fi-7800」と、給与支払報告書の読取りに特化したAI-OCRソフトウェア「DynaEye給与支払報告書OCR」だった。
優れた認識精度とオンプレミス製品
同製品は、書類をスキャンし画像を取り込みAI-OCRで読み取ることで、書類へ記入された文字情報を自動でデータ化することができる。また通常のOCRでは、決まった位置しか読み取れないが、AIが判断して多様なレイアウトの総括表や個人別明細書などを自動で識別。また、個人別明細書の摘要欄にも対応し、高精度に認識してくれる。同社では、もともと他社のサービスを使用していたが、PFUのAI-OCRの方が、使い勝手が良く読取精度も高かったという。中野さんは、「ここまでの読取精度を実現できるのは、本当に素晴らしい」とPFUの企業努力を高く評価する。
また、同製品がデータを全てクローズド環境で管理できるオンプレミス製品であることも導入の決め手になった。オンプレミスとは、ソフトウェアを使用者の管理する施設内に設置して運用する利用形態。外部のネットワークに接続しないため、セキュリティが高いのが特長だ。「作業は外部との接続を全く閉じた中で行っています。情報漏えい対策としてもオンプレミス製品の導入は必須でした」と中野さんはその必要性を語る。
夜間のAI-OCR+人のハイブリッド運用で高品質と効率化を両立
実際のデータ入力業務はどう運用されているのか。まず1月初頭から給与支払報告書が同社に届く。そこからスキャン、そして夜間にAI-OCRにかける。この夜間の活用が効率化・省人化と生産性向上に役立ったという。「機械だと夜も動けますし、一次エントリーの人員をベリファイ(検査・確認)に回せたので、1.3倍ほど生産性が上がりました」と同社の第二BPOビジネス事業部業務部課長の大森由紀さんは有用性を語る。その後、ベリファイの担当職員が手入力し、AI-OCRとの突合を行う。AIが得意な部分と、それ以外の部分を人が補い業務精度を高めていく。さらに「その後もチェックをかけて目視による確認を行い、納品しています」と大森さん。AIと人のハイブリッド運用で高品質と効率化の両立に成功した。
限られた人員・リソースを活用し、アウトソーシングも交えて効率的・効果的に給与支払報告書の処理業務を進めることは自治体共通の課題。「解決に向けAI-OCRの活用を今後も積極的に進めたい」と語る中野さん。「弊社から質の高いサービスを提供して、各自治体様は、やるべきところに力を割いていただく。そのために新たなエントリー・ベリファイの運用を確立していきたいです」と意気込む。
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