連載 vol.33「つながる」力 つながる力はほんのちょっとの 勇気で培える 【立石孝裕(兵庫・尼崎市職員)】
地方自治
2022.03.21
本記事は、月刊『ガバナンス』2016年12月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
「会議に行ったら…」採用時に課長から言われた言葉
私は1993年の採用だ。採用時の課長から「会議に行ったら名刺をよその職員にいっぱい配って一緒に飲んでこい」と指導を受けた世代。他市の取組みを聞きたいと思った時に、直接電話で聞ける人間関係をつくってこいという意味だ。最近、私の周りでは名刺を持っていない若手職員が多いことに驚く。読者のみなさんはどうだろうか。
そんな私が他市職員と濃密につながり始めたのは、今から10年以上前の行政評価の勉強会がきっかけだ。このセミナーは連続もので、毎回終了後に懇親会が用意されていた。当初はかなりの人数で賑わっていた懇親会も回を経るごとに減少し、最終回にはとうとう4人(主催者含む)となった。その中の一人が隣りの伊丹市役所の前田和宏さんだった。最後までやり抜いた〝同志〞感からか意気投合し、関西学院大学の勉強会を紹介してもらったり、伊丹市主催の「地域に飛び出す連続講座」に本市職員も実行委員に加えてもらうなど、今でもいいお付き合いをさせていただいている。
市民の皆さんとのつながり力も重要だ。今後の市政運営は市民の皆さんに主体的に関わっていただかないと成り立たないと考えるからだ。
私は仕事外で10年ほど前から尼崎市の南部に焦点を当てたミニコミ誌「南部再生」の企画編集に加えてもらっている。私の担当は「(午前)3時のあなた」。深夜営業の居酒屋や新聞社、消防局などを取材し記事にしている。
こんなプライベートの関係から、尼崎市民が先生にも生徒にもなる学びの祭典「みんなのサマーセミナー」(200講座に延べ3000人が集まるイベント)や200人もの市民がカードゲームを使って尼崎の未来を考える大規模ワークショップ「尼崎フューチャーゲームセンター」の成功につながった。
つながる力は、目の前の仕事が忙しくても、見知らぬ人と話すのが苦手であっても、視点を未来に延ばせば何十倍にも恩恵となって返ってくる。今日も勇気を出して名刺を配ってこよう。
(兵庫・尼崎市職員/立石孝裕)