「もしかすると、これほどまでの授業に出会ったのは初めてだったかもしれない。」(本書より抜粋)
授業づくりや子どもとの関わりに悩んでいる全ての皆様に贈る
約60年にわたり数多の教師たちと協働してきた著者による集大成の授業論。
日々壁にぶつかり、さまよいながらも、子どもたちと真摯に向き合う教師という職業。
「教師としてあるべき姿とはなんだろう」
「子どもに教えるとはいったいどういうことなのか」
本書は、聴き合い、つながり合って深まる「学び合う学び」を生きてきた著者が読者とその世界を共有し、授業者として生きるそのあり方を確かめ合うために編んだものである。
授業という営みの難しさに寄り添い、温かな視線と助言で学校の先生方の悩みと成長に伴走する1冊です。
本書は、一人の教師が到達することのできる最高峰の姿を私たちに開示している。ここまでいたる石井さんの道のりは、教師としての孤独と格闘し、子どもたちや若い教師たちとの関わりをとおして自らの存在を深く問い続けた歩みであったに違いない。そこから紡ぎだされる本書の言葉は、教師はどういう存在なのか、教師はどうあるべきなのかを問いかけ、その問いへの道しるべを示唆するものになっている。
佐藤 学(東京大学名誉教授)
デジタル化や少子化等で学校の姿が大きく変わっていっても、「学び合う学び」が公教育の礎になることは間違いない。そして、それを支える教師の専門家としての仕事とは何かを、本書を繰り返し読み味わうことで私たちは今こそ学んでいく必要があるのではないだろうか。
秋田喜代美(学習院大学教授)
目次
第1章 すべての子どもに、深い学びが生まれるとき―小学校四年・詩の授業において
●授業づくりの三つの軸/●読むこと、聴き合うことで、にじみ出る詩の味わい/●すべての子どもに読みの深まりが生まれたのは
第2章 “みえる教師”になるということ―小学校二年・算数の授業をもとに
●“みえる”ことの大切さ/●授業における四つの“みえる”/●“みえる”教師になるには
第3章 “聴ける教師”の言葉が学びをつくる
●話すことよりも聴くことが先/●子どもの側に立って話す/●子どもの気づきを待つ/●子どもの事実に応じる言葉が学びを引き出す/●言葉は“人”が生み出すもの
第4章 教育の質を決める五つの“まなざし”
●内側からみるということ/●子どもへの“まなざし”/●学習材への“まなざし”/●子どもの学びへの“まなざし”―「学びのかけら」がみえること/●自分自身への“まなざし”/●教師同士の“まなざし”
第5章 学校が「学び合う組織」になるとき
●学校訪問において考える「組織」のあり方/●学び合う教職員組織にすることこそ/●学び合う教職員組織構築が難しいのは/●学び合う教職員組織構築に必要なもの/●学び合う教職員組織のリーダーシップ
第6章 私と「学び合う学び」
●「すごい授業」との決別/●「学び合う学び」との出会いと深まり
第7章 外部助言者として生きる
●外部助言者の覚悟/●コミュニケーションを図る大切さと難しさ/●学ぶ心をもつこと/●事実を何よりも大切にすること/●教師や学校の「今」と「これから」を語ること
◆解説:佐藤 学(東京大学名誉教授) 「学び合う学び」へのまなざし─石井順治さんの見識が開いたもの
◆解説:秋田喜代美(学習院大学教授) 「教師として生涯学び生きる」石井順治先生に学ぶ
著者紹介
石井順治(いしい・じゅんじ)/東海国語教育を学ぶ会顧問
1943年生まれ。三重県内の小学校で主に国語教育の実践に取り組むとともに、氷上正氏 (元・神戸市立御影小学校長)に師事し「国語教育を学ぶ会」の事務局長、会長を歴任する。その後、四日市市内の小中学校の校長を務め、2003年3月末退職。退職後は、佐藤学氏(東京大学名誉教授)、秋田喜代美氏(学習院大学教授)と連絡をとりながら、各地の学校を訪問し授業の共同研究を行うとともに、「東海国語教育を学ぶ会」の顧問を務め、「授業づくり・学校づくりセミナー」の開催に尽力している。