月刊「ガバナンス」特集記事

ガバナンス編集部

月刊 ガバナンス 2025年1月号 特集1:震災が問いかけること――自然災害と自治体職員 特集2:レジリエンスの育て方

NEW地方自治

2024.12.25

●特集1 震災が問いかけること――自然災害と自治体職員

2025年1月1日で能登半島地震から1年。2024年9月には、復旧・復興途上の被災地に追い打ちをかけるような豪雨も発生しました。能登の地で、現実を目の当たりにし、さまざまな形で支援をしてきた人たちはなにを感じているのでしょうか。2025年1月17日は、阪神・淡路大震災からも30年となります。この30年、各地がさまざまな災害に見舞われてきました。多くの災害を経験してきたなかで、変わったこと、変わっていないこと。この先どこで起きてもおかしくない次の災害への教えはなにか。災害や被災地域を目の当たりにした人たちの声に今号は耳を傾けてみたいと思います。

■復興は進んでいるか? という問い

瀬尾夏美さんの写真

瀬尾夏美
作家・アーティスト

被災による傷を回復するためには、その土地の人だけでなく、多くの人の力が必要だ。能登にまた安心して暮らせる日常が戻ってくるように、より多くの人が関わって、ひとりひとりができることをする。

■餅は餅屋の被災者支援、持続可能なインフラ復旧
――被災者も自治体職員も自治体をも守る復興制度へ/菅野 拓

災害大国の日本は、「災害対応が得意」だと考える人も多いだろう。しかしそれは、半分あたりで半分はずれである。本稿ではこれまでの日本の災害対応を振り返り、その特徴を明らかにするとともに、被災者、自治体職員、そして自治体そのものをも災害から守る、復興制度の“あるべき姿”を提示したい。

■災害最前線から問う自治体防災DXのこれから/行司高博
能登半島地震を受けて、被災者一人ひとりに寄り添う災害ケースマネジメントを支える情報基盤としての「被災者データベース」の構築が進められている。自治体の災害対応において情報システムの活用はいまや欠かせないものになっているが、阪神・淡路大震災以来、全国で進められてきたシステム導入の流れをたどりながら、防災DXの進化とあるべき姿を考える。

■技術職として向き合う災害/篠田智仁
災害現場では、発災場所、状況に応じた適切な災害支援の形を感じとり、臨機応変に対応できることがこれからの自治体職員に求められ、日々の業務で磨くべきスキルだろう。そして建築技術者として被災地で活動する原動力は、被災地で現状に向き合いながらも頑張る住民の方々に、少しでもプラスの活力をもってほしいという強い願いからである。

■入庁3年目の私がみた能登半島地震の現場/岡本 結
私と同じような若手職員で、被災地での支援を検討しているのであれば、私は行くべきだと思う。行政に携わる人間として、一番の使命である住民のみなさまの暮らしを守り・支える経験は何事にも代えがたく、自身の仕事に対する向き合い方も変化した。経験が浅いからこそ得られるものも大きいと感じた。

●特集2 レジリエンスの育て方

レジリエンス(resilience)は「回復力」や「弾力性(しなやかさ)」と訳される単語で、「逆境に直面した際、それを乗り越えて適応していく心の力」のことを指します。感情労働に従事する自治体職員は、ストレスフルな状況に置かれることもしばしば。そんなとき、心を守り状況を好転させるカギとなる「レジリエンス」の育て方について、個人とチーム、2つの視点からご紹介します。

■レジリエンスでしなやかな心を育てる/市川佳居
■チームレジリエンスを発揮するには?/池田めぐみ

 

キャリアサポート連載

■管理職って面白い!キャリアアンカー/定野 司 ■「後藤式」知域に飛び出す公務員ライフ
今だから語れる「自治体職員たちの3.11」/後藤好邦
■誌上版!「お笑い行政講座」/江上 昇 ■〈公務員女子のリレーエッセイ〉あしたテンキにな~れ!/五十嵐景子 ■自治体DXとガバナンス/稲継裕昭 ■自治体職員なら知っておきたい!公務員の基礎知識/高嶋直人 ■今日から実践!すぐに役立つ!「公務員による研修」のススメ/林 誠 ■カスタマーハラスメント対策Q&A/関根健夫 ■HOLG presents 本当にすごい公務員!のココだけの話/池田次郎 ■〈リレー連載〉Z世代ズム~つれづれに想うこと/青木悠太 ■ただいま開庁中!「オンライン市役所」まるわかりガイド/上田茂雄 ■地域の“逸材”を探して/寺本英仁

 

●巻頭グラビア

□自治・地域のミライ
森田浩司・奈良県三宅町長
「つながり」と「やりたい」で小さな町の未来をつくる

森田浩司・奈良県三宅町長さんの写真

森田浩司・奈良県三宅町長(40)。32歳で初当選。3期目は「特に教育に力を入れていきたい」と話す。

 

取材リポート

□新版図の事情──“縮む社会”の現場を歩く/葉上太郎
人や緑に導かれ、自然な移住が始まっている
原発事故、続く模索58
福島には被災12市町村という枠組みがある。原発事故による避難指示区域が含まれた自治体だ。人口流出が進んで職場も激減し、存続が危うくなっている地区が多い。このため、手厚い支援策で企業や移住者の誘致が進められており、その分、補助金目当ての進出も目立つ。だが、移住者に限ってみれば、自然や住民に魅せられて定住する人が増えている。間もなく発災から14年。原発被災地に変化が生まれている。

□自治体政策最前線──地域からのイノベーション22
いこま空き家流通促進プラットホーム
──所有者に寄り添った公民連携支援で空き家の流通と利活用を促進(奈良県生駒市)

奈良県生駒市は、宅地建物取引士や建築士など不動産流通に関わる専門家団体等と連携協定を締結し、空き家の流通を促進するプラットホームを設立して空き家の解消を進めている。物件や不動産取引に不安や悩みを持つ所有者に専門家が寄り添い、オーダーメイドの対応方針を提案して売却や賃貸を支援する取り組みだ。また、空き家を地域貢献に提供したい所有者と活用希望者をマッチングする取り組みを開始し、空き家利活用の可能性を広げている。

 

●Governance Focus
□能登半島地震・奧能登豪雨 発災から1年しても避難所に身を寄せざるを得ない理由
──石川県輪島市、大屋小学校体育館で出会った人々/葉上太郎

石川県の奥能登では、年の瀬になっても300人以上が避難所に身を寄せていた。2024年1月1日に発生した能登半島地震。追い打ちをかけるようにして起きた9月21日の奥能登豪雨。道路の復旧は遅々として進まず、「代々住んできた土地に戻りたい」という、ささやかな願いさえかなわない。なのに、政府内では過疎の被災地を実質的に見捨てるような財政方針が持ち上がる。天災と人為。過疎地から滅び、滅ぼされる日本には、何が残るのか。

●Governance Topics
□震災の記憶と経験をつないでいくイベントを開催──東北OM15周年&あれスぺ10周年記念イベント「自治体職員たちの3.11」
東北地方のまちづくりや地域活性化に資する“人財”育成を目指し活動を行っている官民のネットワーク「東北まちづくりオフサイトミーティング(東北OM)」と東日本大震災での自治体職員の体験を語り継ぐイベント「あれからスペシャル(あれスぺ)」による共同イベント「自治体職員たちの3.11」(主催:東北OM、あれスぺ実行委員会、大学行政管理学会)が、2024年11月23日に仙台市で開催された。震災を経験した自治体職員らが当時の経験を共有し、将来に語り継ぐための場となった。

□若手職員のキャリアアップを考える場に──関東自主研サミット2024
「関東自主研サミット2024」(関東自主研サミット実行委員会・さいたまOM「の・ようなもの」共催)が2024年11月9日にさいたま市で開催された。今年度は自主研を通してキャリアアップにつなげようという趣旨で企画。参加者らが活発な対話で学びを深めた。

□地方公務員が推薦!すごいと思う公務員らを表彰──「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2024」表彰式
「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2024」(株式会社ホルグ(加藤年紀・代表取締役社長)主催)の表彰式が2024年10月13日に都内で行われた。8回目の今年は、各地の地方公務員から推薦された11人がアワードを受賞。さらに今年から新設された「ネクストホープ賞」には2人が選ばれた。

□能登半島地震の被災地支援にあたる民間団体が支援の現状を報告──日本財団「災害対策の課題と展望を語るフォーラム2024」
令和6年能登半島地震の発生から1年。被災者と支援者の今は、そして今後の見通しは──。2024年12月12日、公益財団法人日本財団は、「災害対策の課題と展望を語るフォーラム2024〜能登半島の活動実態を踏まえて〜」を都内で開催。能登半島で支援活動中の民間団体等が一堂に会し、被災者の声や支援現場の課題、相互連携の必要性などについて報告・意見交換を行った。

 

連載

□交差点~国×地方/人羅 格 □自治・分権改革を追う/青山彰久 □新・地方自治のミ・ラ・イ/金井利之 □地域発!マルチスケール戦略の新展開/大杉 覚 □市民の常識VS役所のジョウシキ/今井 照 □“危機”の中から──日本の社会保障と地域の福祉/野澤和弘 □自治体法務と地域創生──政策法務型思考のススメ/津軽石昭彦(関東学院大学地域創生実践研究所) □地域経済再生の現場から~Bizモデルの中小企業支援/正田嗣文(Gaki‒Biz) □自治体の防災マネジメント/鍵屋 一 □市民と行政を結ぶ情報公開・プライバシー保護/奥津茂樹 □公務職場の人・間・模・様/金子雅臣 □生きづらさの中で/玉木達也 □議会局「軍師」論のススメ/清水克士 □地方議会シンカ論/中村 健 □「自治体議会学」のススメ/江藤俊昭 □From the Cinema その映画から世界が見える
『いもうとの時間』/綿井健陽
□リーダーズ・ライブラリ
[著者に訊く!/『「みんな」って誰?──災間と過疎をのびのび生きる』宮本 匠]

 

カラーグラビア

□つぶやく地図/芥川 仁
樹上の空師は悟りの境地へ向かう──群馬県高崎市倉賀野町

□技の手ざわり/大西暢夫
くらしを照らす伝統の灯──【和蝋燭】大森和蝋燭屋(愛媛県内子町)

□わがまちDiary──風景・人・暮らし
色とりどりの魅力をみせる自然と文化のまち(埼玉県秩父市)

 

特別企画

□地域住民との連携で地域課題の解決を図る──SDGs未来都市による持続可能な地域づくり

 

■DATA BANK 2025 自治体の最新動向をコンパクトに紹介!

※三十槌の氷柱(埼玉県秩父市提供)

 

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株式会社ぎょうせい

「ガバナンス」は共に地域をつくる共治のこと――これからの地方自治を創る実務情報誌『月刊 ガバナンス』は自治体職員、地方議員、首長、研究者の方などに広く愛読いただいています。自治体最新事例にアクセスできる「DATABANK」をはじめ、日頃の政策づくりや実務に役立つ情報を提供しています。2019年4月には誌面をリニューアルし、自治体新時代のキャリアづくりを強力にサポートする「キャリアサポート面」を創設しました。

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