連載 vol.72「つながる」力 これから求められる「つながり」 ── 新しい時代の中で 【八釣直己〈やつりなおき〉(奈良・吉野町職員)】
地方自治
2023.06.15
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2020年3月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
時代は変わりつつある。「つながり」の在り方も変わる──。
現在、所属課での仕事を通して痛感している。ここで導き出されるキーワードは「関係人口」と「シェアリングエコノミー」だ。ここ数年で急速に注目されはじめ、どちらも今後、重要な施策の視点のひとつになっていくと考えられる。
吉野町では人口が7000人を下回り、高齢化率も50%を超えた。人口減少、超高齢化社会において、スマートフォンの普及やITテクノロジーの発達で、働き方や人、地域とのつながりにも変化が出てきている。特に、過疎地などではこういった時代の流れにアンテナをはり、そこから生まれるアイデアや技術に、その地域に合わせた要素を加えることで、地域事情に応じた独自のモデルを創る必要がある。これまでの基礎的コミュニティを維持できない事例も増えてきている中、「知恵」と「パートナー」次第で過疎の町村でも明るい未来をもたらすことができる。
新しいつながりを生み出し、それを活かすには、民間企業の活力やアイデアが有効だ。吉野町では昨年、㈱エニタイムズ(東京)、㈱SAGOJO(東京)と三者でシェアリングエコノミーを活用した地域活性化に関する包括協定を締結した。各社が持つ、インターネット上のプラットフォームで、町内外のつながりを最大限に活かそうという試みだ。
インターネット上でのつながりと、リアルなつながりを掛け算することで、地域内外の新しい交流と共助の仕組みが生まれてきており、今後の展開が楽しみだ。
先日、町内での高齢者向けスマホ教室へ見学に行った時、参加者はLINEアプリを介してコミュニティ形成していた。今後さらに、高齢の方がスマホを活用する環境が進む。吉野町でも、公式LINEアカウントを導入予定だ。生活、防災、イベント情報はもちろん、新しい共助の仕組みとしてのツールとして活用されることが期待できる。私たちを取り巻くIT環境が急速に変化していくことを前提とした様々な施策や事業の展開を考えることが、今後さらに重要であると痛感している。
(奈良・吉野町職員/八釣直己〈やつりなおき〉)