【特別企画】会計業務改革で「公振(こうふり)くん」が示した顕著な導入効果
NEW地方自治
2025.03.04
(『月刊ガバナンス』2025年3月号)
【特別企画】会計業務改革で「公振(こうふり)くん」が示した顕著な導入効果
自治体の事務事業完結に必要な経費精算に係る業務は、会計担当課の中核業務のひとつ。とりわけ年度末ともなれば各部署から一斉に支払請求の伝票が殺到するだけに、速やかで確実な起票・審査・支払処理が求められる。その会計業務の効率化で近年注目されているのが㈱NTTデータビリングサービス(以下、NTTDBS)の公共料金明細事前通知サービス「公振くん」だ。近隣自治体に学び「公振くん」を導入して1年、すでに効果を実感しているという長崎県佐世保市に、会計管理室の皆さんを訪ねた。
会計業務効率化に向け「公振くん」を導入
――佐世保市会計管理室の概要をお教えください。
塚田 地方自治法における会計管理者の規定に基づき、佐世保市では会計管理室が設置されています。主な業務は公金の出納、出納に関する審査、指定金融機関に関することなどです。職員は正規職員9名、会計年度任用職員2名の11名体制で、歳入担当が3名、歳出担当は4名です。
――業務改革に取り組まれているそうですが。
塚田 当市では令和4年(2022)度から「会計事務の効率化」に取り組んでいます。会計年度任用職員を増員して伝票審査の一部をお任せし、生み出した時間で正規職員は改革・改善の企画・実践に取り組んでいます。
というのも、その頃から手数料有料化の流れがあり、当市ではそうした動きへの対応を進めてきました。具体的には、消耗品の計画発注による伝票の削減や原課の発注上限額の見直し、あるいは契約ごとの支払ルールでは小額の委託料を毎月払いから四半期払いや半期払いに変更してもらう等、事務負担の軽減に努めています。
――そのなかで「公振くん」を導入した理由は。
塚田 「公振くん」は県内で導入が進み、6市で活用されていることは把握していました。
「公振くん」による公共料金支払手続きの効率化はすぐ取り組めて効果があると聞いていましたし、指定金融機関からも勧められて本格的に検討を始めました。その結果、引き落とし前に金額がわかることから事前承認が可能なうえ、財務会計システムとの連動による伝票自動作成機能が作業の効率化やミス防止をサポートしてくれることがわかりました。
――導入準備はいかがでしたか。
山本 大変だったのは財務規則と事務処理規程の改正です。総務課とのやり取りが中心でしたが、他都市とは規則の内容がやや異なっており、適応した規程にするため何度も打ち合わせを重ねました。また、 「公振くん」で可能なものはすべて行おうという方針になりましたから取扱件数も多く、かつ収納機関も多数あったので、口座振替日や振替金額等の事前通知の方法などを個別に確認する必要がありました。
――財務会計システムの改修はどう進めましたか。
山本 財務会計システムのベンダーは県内で「公振くん」を導入している他都市と同じ事業者で受信形式も同一だったので視察に行き、それを当市に適応するよう整えるだけでしたからスムーズに導入できたと思います。また1300件ほどのマスタデータの作成をNTTDBSさんにお願いしましたが、入力間違いもほとんどなく、運用開始までに間に合わせていただいたのですごく助かりました。
――現在「公振くん」で支払事務を行っている種類と件数は。
山本 電話料金、電気代、水道代、ガス代、NHKの受信料です。電話代には、Wi-Fi使用料やインターネット使用料も含まれますが、合わせて1300件ほどで活用しています。
確認された大幅な業務改革効果
――導入から1年ですが、効果は。
山本 導入前後の令和4年度と5年度を比較してみました(表参照) 。まずは「起票」と「決裁」ですが、作業時間は1件あたり約3.5分で年間約7500件を処理し約438時間かかっていたものが、導入後は約96時間に削減できています。 「審査」も導入前は1件約3分で375時間でしたが、これも26時間に削減しました。 「支払処理」では、1件約0.5分で約63時間が導入後は12時間に短縮されています。
また「事務誤り」では、手入力の起票ミスが悩みでしたが、導入後はマスターデータによる自動処理になったため、引落金額と予算執行科目を紐づけでき誤入力が減っています。さらに「事務処理人数」では原課で起票1名・決裁3名、会計管理室では審査・決裁の3名体制でしたが、導入後は原課が0名、会計管理室では起票が1名・決裁が3名、審査・決裁が3名に縮減でき、そのほかにも「消耗品」や「保管処理」の効果も生まれました。総じて言えば、 「事務処理時間」は縮減され、 「ミスの防止」にもつながっています。
塚田 コスト面については、財務会計システムの改修費用と「公振くん」サービス利用料のランニングコストがありますが、総体的に考えれば市全体で740時間ほどの削減効果はあったと考えています。金額換算するなら、仮に職員の時間単価を4000円とすれば計算上は296万円となります。特に原課では予算をきちんと確保しておけば自動的に振替日の通知がきますし、伝票の起票をせずとも引き落とされていくので省力効果が大きいですね。
――導入の実務を担われた古賀さんはいかがでしたか。
古賀 導入前は日常業務に加え準備すべき実務が多く時間に追われました。ただNTTDBSさんから適宜、的確なアドバイスをいただけましたし、導入後に業務が軌道に乗ってからは、納付書の伝票が減って業務がとても楽になったと実感しています。
――全国の皆さんにメッセージを。
塚田 今、自治体にはBPRといわれる業務改革の波がきており、会計事務の効率化も喫緊の課題です。その改革は各部署の協力なくしては進まない課題であるものの、やはり会計担当課が声を上げて主体的に取り組まなければ進みません。その有力な手段のひとつとして「公振くん」は非常に役立ちましたし、ひいては担当課の業務改善、庁内全体の改革にもつながっていくだろうと思います。
左から NTTDBS の谷川翔平さん、佐世保市会計管理室の古賀花惠・主任主事、塚田健一・副理事、山本俊亮・主任主事、NTTDBSの塩谷加奈子さん。
データ登録支援サービスで作業負担が大幅に軽減
NTTデータビリングサービス 谷川翔平さん
――今回、データ登録支援サービス ( マスタデータ作成及び口座振替依頼書作成 ) の依頼がありました。委託のメリットやスケジュール感は。
谷川 「公振くん」導入準備として発生する、納付書・支払伝票情報の入力作業/口座振替依頼書作成作業などの煩雑な作業を弊社にて実施することで、お客様の作業負担が大幅に軽減されます。お客様で収集した書類 ( 納付書・支払伝票 ) を弊社に送付いただいてから、「公振くん」登録用マスタ・口座振替依頼書を納品し支払方法の変更を含め利用開始まで平均で約6か月かかります。
―――自治体の規模や支払い件数、収納機関の数などによってサービス料は変わりますか。
谷川 お支払い件数によって費用は変動しますが、自治体規模や収納機関数では変動しません。
―――「公振くん」はどんな規模の自治体でも導入でき、有効的に活用できますか。
谷川 市をはじめ、小規模な、例えば人口1,000人未満の町村でも導入実績がございます。職員の方の作業負担は、自治体の規模に関わらず、大きいと考えておりますので、皆様に有効にご活用いただけるサービスだと自負しております。
企画提供
株式会社 NTTデータビリングサービス
〒 143-0023 東京都大田区山王 1-3-5 NTTDATA 大森山王ビル
TEL.03-6451-8330
https://www.nttdatabs.co.jp/
公共料金支払事務の手間を軽減するためのサービス「公振くん」紹介ページ