□子どもを育て、子どもと関わるすべての人に役立つ知識として
□未就学児施設では、日々の保育と養成のレベル・アップのために
□自治体等では、保護者向けの子育てスキル情報として
□目の前の子ども一人ひとりの安全と健やかな成長のために
本書は、
⇒21世紀に出た研究論文150を含む200の証拠(養成校や一般的な研修では、まだ十分に反映されていない研究成果や情報)をもとに、
⇒「子どもを入園させるなら、こんな保育をしているトコロ!」と思ってもらえるような、
⇒「より適切な保育」をつくる根拠と、その実践のための具体的ヒントをまとめました。
⇒昨今問題視されている「不適切な保育」(子どもの尊厳を顧みない関わり)を引き起こさないためにも、発達に関する正しい知識が不可欠です。
21世紀を生きていくおとなたちを十分に育てるために必要なもの、
それは、生まれた瞬間から始まる成長発達の最新科学です。
★point
・成長発達の順序と、保育のおさえどころをカラー写真で明示
⇒カラーページは、コピーをして園や自治体から保護者の方にお渡しいただけます。
・保育所の実践例をもとに、子どもとの関わり方のポイントを解説
・成長発達にかかわる重要な情報や新しい証拠のうち、おさえておきたい基本を簡潔に紹介
★メイン書名中の「子ども育て」とは:
おとながすることとしての「子育て(=育児)」に対し、その対象となる「子ども」のほうに焦点をあてた表現。子どもを一人の個として尊重し向き合うことの大切さを込めています。
目次
■見てわかる!生後数年間が体と脳を育てる鍵 ……[巻頭4色刷り(カラー写真とカラーイラスト多数)]
○体の成長発達・誕生から約2~3か月の間
【コラム】誕生すぐから「タミー・タイム」
・生後約2~6か月の間
【コラム】この時期にしてはいけないこと
・誕生~生後6か月頃(座り始める時期)のかかわり方や玩具
【コラム】子どもの視界をさえぎらないで
・生後7~10か月頃
・生後8~12か月頃
【コラム】「立ちあがる」「歩く」を急がせないで
・生後12~18か月頃
・生後7か月頃~歩き始めのかかわり方や玩具
【コラム】環境
【コラム】ここまでの時期、子どもとかかわりながらおとなが観察する視点
○手と指の発達
・誕生後~生後12か月頃
【コラム】安全に育つことができる環境の基本
○体から指先まで育てる
・誕生後~生後12か月頃
・1歳~3歳になるぐらいまで
○体の発達と日々の活動
・2歳後半以降
・子どもが進めて、おとなが支える活動
○口腔機能の発達
・授乳期~離乳食期
・歯ぐき食べ期+手づかみ期から手つまみ期へ
・スプーンやフォークを使って食べる時期
・食器の工夫、実践の例
○あなたの笑顔と言葉が最高の成育環境
○認知、非認知(社会)スキルを育てるやりとり
○口腔機能の発達に関連して食べ物の話3題
【コラム】排泄を「汚い」「恥ずかしい」と言わないで
○さまざまな活動が育つことに関連して遊びの話3題
○成長発達には大量のエネルギーが要る:睡眠の重要性
■家庭でも園でも活かせる保育施設の実践
(小倉北ふれあい保育所)○ランドセルに入った給食袋:0歳から始まる縫いさし
○体が育つと、「描く」も育つ:閉じた丸を描くまで
○稲刈りから精米、そしてご飯へ。すべて人力!
○2018年から続く、宇宙の探索と遊び
○子どもたちが、私たちの保育を変えてくれた
(花園第二こども園)
○「やりたい」「できる」を判断できる子どもを育てたい
○4歳児うどんプロジェクト(2023年度)
○「指示する」保育から「支持する」保育へ
■証拠の縦糸:生まれた瞬間から始まる子ども育て
○遺伝子は設計図だが、「運命」ではない:気質を例に○おとなの目に見える「できる」ではなく、基礎が「できていく」
【コラム】おとなの体も「見えない部分」が重要
○外界とのかかわりから生まれる「自我」:主体とは何か
○「どう応え、どう話すか」は世界共通:赤ちゃん言葉の効用
○発信しても応えがなかったら?:おとなの応答の大切さ
○応答を理解し、言葉も手に入れる:赤ちゃんが泣く理由
○アタッチメントは備わっているもの? 学習するもの?
○赤ちゃんは心を持った一人の人格:マインド・マインデッドネス
【コラム】「安全基地でいてくれたかどうか」も鍵
○成長発達の要素は、すべてがつながっている
○自分と他人をつなぐ最初の鍵、学びの第一歩:見つめあいと共同注意
【コラム】「目を見る」のは、胎児期から?
【コラム】スマートフォンが共同注意を阻んでいる
○電気仕掛けの玩具や動画は脳を育てる?:やりとりと脳発達
○「思いやり」や「良かれ」は他者理解の障壁:「心の理論」の発達
○「イヤ!」「貸してあげない!」は自己主張の練習:自我の確立と言葉
○「貸して」「いいよ」や「思いやり」は、世界に通用しない
○「私を真似て!」と赤ちゃんは言っている:模倣の始まり
【コラム】「いつも同じ」が持つ強い力
○お手伝いが模倣による学習、人とのつながり、人生の習慣を育てる
【コラム】「一緒にする」が「助け」のきっかけ、学習に
○「ごっこ」と「本物」、どっちがいい?
○目に見えて「できる」まで、「できない」わけではない
○「今はこれ。別のものは無視し続けよう!」:共同注意から選択的注意へ
○環境の視覚刺激が注意スキルの育ちを妨げる:未就学児施設の壁面
○「自分で選んで取り組む」対 ごほうび:動機のスキル
【コラム】数十人の子どもが参加した実験で、意味がある?
○やりとりが赤ちゃんの脳を育てる:「3000万語」とソーシャル・アンサンブル
○とりあえずつなごう。作業はそれからだ:脳神経回路の驚異
○「保護者の経済力がすべて」は嘘:米国の介入プログラムと学業到達度の関係
【コラム】「統計学的な有意差」とは?
○保護者、まわりのおとなも子どもと一緒に育つ:実行機能の発達
■証拠の横糸:子どもを育てるおとなたちを支える
○育てるから「親」に育つ:妊娠、出産と女性の脳、男性の脳○「虐待の連鎖」が見えなくしているもの
○「産んだからかわいい」ではない:Nobody’s Perfect(髙木)
○「この子のため」が生む優しい虐待(髙木)
○子どもの脳は嘘をつく。おとなの記憶もつくられる:記憶よりも記録
○「記憶」は美化されるけれど、「記録」は美化されない(髙木)
○写真や動画の記憶は残らない:記録よりも記憶
○子どもの時間はゆっくり流れる:時間認知と感情認知
○創造力の芽を育てる臨界期は乳幼児期
○ぼんやりな脳、退屈した脳が新しいものを生む:デジタル機器と脳
○「父親の育児参加」?? 「夫婦共育児」をお勧め(髙木)
○「うちの子、こんな感じなんだね!」:一日保育士体験(髙木)
○未就学児施設で長時間を過ごす影響は?:日本独自の研究が必要
○「保育の質」から「子育て、保育に使える証拠」へ
○未就学児施設で「してはいけないこと」は?
著者紹介
掛札逸美(かけふだ・いつみ):
1964年生まれ。健診団体広報室勤務後、コロラド州立大学大学院に留学。2008年、心理学博士号取得(応用社会心理学/健康心理学)。2013年、保育の安全研究・教育センター設立。『保育者のための「ハザード」教室:子どもの「危ない!」の見つけ方、伝え方』(共著)、『ペアレント・ネイション:親と保育者だけに子育てを押しつけない社会のつくり方』(訳)等。https://kodomoinfo.org
酒井初惠(さかい・はつえ):
1961年生まれ。看護学修士(浜松医科大学大学院)。幼稚園教諭を経て、1999年、社会福祉法人正善寺福祉会小倉北ふれあい保育所(夜間部)主任保育士、現在に至る。養成校等で後進の指導にもあたる。『育児担当制による乳児保育 実践編』(西村真実、2021)に実践紹介、『子ども中心の実践に学ぶ保育内容総論』(共著、2023)等。
髙木早智子(たかぎ・さちこ):
1969年生まれ。民間企業勤務を経て、1998年、社会福祉法人花園福祉会入職。2002年、花園第二保育園(現・幼保連携認定こども園花園第二こども園)園長就任、現在に至る。「Nobody’s Perfect~完璧な親なんていない!」NP-JAPAN認定ファシリテーター。2級キャリアコンサルティング技能士。国家資格キャリアコンサルタント。産業カウンセラー。