月刊「ガバナンス」特集記事
月刊 ガバナンス 2025年3月号 特集1:自治体職員のソコヂカラ 特集2:モヤモヤを形に変える 思考術
NEW地方自治
2025.02.26
●特集1 自治体職員のソコヂカラ
変化の時代、日々地域と向き合う自治体職員。様々な課題に向き合いながらも、自治体職員の持っているパワーを最大限発揮するためにはどうすればよいか。地域の未来のために職員の能力を活かすための人材育成・活用の試みが現場では行われています。今月は、実際に取り組み始めた自治体の実践事例に注目してみます。
■〈取材リポート〉VUCAの時代に立ち向かう人材育成・確保を推進する――「品川区人材育成・確保基本方針」/東京都品川区
東京都品川区は、区を取り巻く社会経済が変化している状況を踏まえ、複雑化・多様化する行政課題に対応するにあたり人材の育成、確保に何が必要なのかを明確化するため、2024年4月に「人材育成・確保基本方針」を策定。区民のウェルビーイング向上のために、変化の時代の区政運営で活躍できる職員像の方向性を示している。
■〈取材リポート〉職員一人ひとりのスキルと意欲を活かしたマッチング制度をスタート――「iマッチング制度」/群馬県伊勢崎市
群馬県伊勢崎市は、意欲と適性のある人財を求めている部署と、能力を発揮したい職員をマッチングして、人財の有効活用と組織の活性化、職員のモチベーション向上を実現するため「iマッチング制度」を導入した。住民福祉の増進のために自らの強みを活かした業務に取り組み、エンゲージメント向上につなげることを目指している。
■人材流動化などについて首長らが議論――第13回地域に飛び出す公務員を応援する首長連合サミットin中野区
職場や家庭における役割に加え、社会貢献や地域づくりなどの活動に参画する“地域に飛び出す公務員”を応援する首長らによる「地域に飛び出す公務員を応援する首長連合サミット」が1月18日に東京都中野区を会場に開催された。人材の流動化など、参加した首長らが事例を共有しながら意見交換をした。
■各地の業務改善事例から「気づき」を発見する――第17回全国都市改善改革実践事例発表会in TOKOROZAWA・カイゼンサミット2025 in ところざわ
全国の自治体で実施された業務改善の優秀事例を一堂に集め、事例の共有と気づきを発見する「全国都市改善改革実践事例発表会in TOKOROZAWA」(所沢市・同会準備委員会主催)が2月7日に埼玉県所沢市で開催された。翌日には、恒例の有志による「カイゼン・サミット2025inところざわ」も開催。より良い業務のための改善事例を学び、交流する機会となった。
●特集2 モヤモヤを形に変える 思考術
人口減少など社会構造が大きく変化する時代。地域にも多くの課題が山積しています。自治体職員のなり手不足が叫ばれるいま、従来のやり方を踏襲するだけでなく、職員一人ひとりが課題と向き合い、新たに思考していくことがこれまで以上に求められるでしょう。そこで今回の特集では、課題の抽出や業務の整理、新しいアイデアの創出に役立つ「思考術」をご紹介します。
■具体⇔抽象の反復思考が「考える力」を生む/細谷 功
■公務員のためのラテラル・シンキング実践法/秋田将人
■マトリクスで行う思考と業務の整理術/木島康平
キャリアサポート連載
■管理職って面白い!四苦八苦/定野 司 ■「後藤式」知域に飛び出す公務員ライフ
人材の流動化と公務員のキャリアデザイン/後藤好邦 ■誌上版!「お笑い行政講座」/江上 昇 ■〈公務員女子のリレーエッセイ〉あしたテンキにな~れ!/田中京子 ■自治体DXとガバナンス/稲継裕昭 ■自治体職員なら知っておきたい!公務員の基礎知識/高嶋直人 ■今日から実践!すぐに役立つ!「公務員による研修」のススメ/吉田武司 ■カスタマーハラスメント対策Q&A/関根健夫 ■HOLG presents 本当にすごい公務員!のココだけの話/深谷大一朗 ■〈リレー連載〉Z世代ズム~つれづれに想うこと/加藤志歩 ■ただいま開庁中!「オンライン市役所」まるわかりガイド/植草大輔 ■地域の“逸材”を探して/寺本英仁
●巻頭グラビア
□自治・地域のミライ
南 千晴・群馬県榛東村長
望む未来を選べるように、人にやさしい村づくりを目指す
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南千晴・群馬県榛東村長(44)。「多様な生き方を尊重した村づくりを進めたい」と話す。
取材リポート
□新版図の事情──“縮む社会”の現場を歩く/葉上太郎
入居から10年、村外「村営住宅」の在り方が揺らぐ
原発事故、続く模索60
原発事故で全村避難を強いられた福島県葛尾村。「すぐには帰れない」と避難先の同県三春町に「村営住宅」を建設した。自治のエリア外に公営住宅を設けるという前代未聞の対策だった。だが、入居からもうすぐ10年だ。高齢化が進み、3割が空き家になった。当初の意義を忘れた人々からは「なぜ村外に建てたのか。そうでなくても帰村者が少ないのに」という声が出る。これからどうしていくのか。「村外住宅」は時間の経過と共に、在り方が揺らぎつつある。
□自治体政策最前線──地域からのイノベーション24
2050サステナブルビジョン
──自然再興・脱炭素・循環社会の環境先進都市を実現する(栃木県那須塩原市)
栃木県那須塩原市は、環境戦略実行宣言として「2050 Sustainable Vision 那須塩原」を公表し、環境政策に力を入れている。ネイチャーポジティブ、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーの3本柱のもと、庁内各部門や民間等との連携によって持続可能な環境都市を実現するのが目標だ。SDGs未来都市にも選定され、経済・社会・環境の統合的な取り組みで、安心して暮らせる“生き延びられるまち”をめざしている。
●Governance Focus
□横ずれ「側方流動」の広域発生に前代未聞の苦悩
──能登半島地震。石川県かほく市・内灘町の被災から1年超/葉上太郎
ただの液状化ではない。土地が最大3mほど横にずれた。側方流動という現象だ。しかも170haものエリアで対策を迫られるという前代未聞の被害である。敷地ごと家が動いた先は誰の「土地」なのか。そもそも道路はどこに通し直すのか。これらを整理し、再液状化を防ぐには、実証実験、工法確定、合意形成という段階があるだけでなく、着工後も5〜10年かかるという。高齢化が進む地区だけに「待てない」という声が噴出する。
●Governance Topics
□女性・高齢者らのウェルビーイングを最大化する社会技術について意見交換──内閣府SIP「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」シンポジウム2024
内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(内閣府SIP)は、横断的マネジメントのもと科学技術のイノベーションを図るプロジェクトで、現在は第3期として23年度から5か年計画で14の社会的課題に取り組んでいる。課題の一つ「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」では、一人ひとりの多様な幸せの最大化のための技術やサービスの社会実装を目指して産官学が連携。その活動の一環として、2月4日、「『包摂的コミュニティプラットフォームの構築』シンポジウム2024」が都内で開催された。
□地域や組織のありたい姿を実現するためのヒントを探る──明日から一歩踏み出すための実践スキルアップ講座
「明日から一歩踏み出すための実践スキルアップ講座」(事務局:早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会運営委員)が2025年1月25日に都内の早稲田大学で開催された。ファシリテーションとSOUNDカード™の講座に分かれて学んだ。
□「自治」と「分権」の100年を振り返る──『都市問題』創刊100周年記念シンポジウム
公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所の主催により、2月8日、「『自治』と『分権』の100年」をテーマにしたシンポジウムが都内で開催された。同財団の機関誌『都市問題』が1925年の創刊から100年の節目を迎えたことを記念するもので、戦前から戦後、そして現在へと続く日本の「自治」と「分権」の歩みをたどり、今日的視点からの議論が行われた。
□これからの地域課題を解決する「連携」について議論──『公共の未来』出版記念イベント〜産官民学連携による地域の課題解決と公共の未来〜
グラビス㈱は12月17日、同社代表取締役・古見彰里さんの著書『公共の未来──2040年に向けた自治体経営の論点』の出版記念イベントを東京で開催した。当日は自治体関係者、民間企業の関係者、学識者らが登壇し、本書のテーマである“公共の未来”について、各領域間の連携を軸に話し合った。
□人口減少の進む日本に6つの改革を提言──令和臨調「国土構想」部会による提言
経済、労働、学識など民間有志による政策提言組織「令和国民会議」(令和臨調)は、2月5日に、人口減少に適応した社会に移行するための、多様な働き方や地方自治、国土利用など6つの改革提言を公表した。
連載
□交差点~国×地方/人羅 格 □自治・分権改革を追う/青山彰久 □新・地方自治のミ・ラ・イ/金井利之 □地域発!マルチスケール戦略の新展開/大杉 覚 □市民の常識VS役所のジョウシキ/今井 照 □“危機”の中から──日本の社会保障と地域の福祉/野澤和弘 □自治体法務と地域創生──政策法務型思考のススメ/出石 稔(関東学院大学地域創生実践研究所) □地域経済再生の現場から~Bizモデルの中小企業支援/瀬沼健太郎(らづ‒Biz) □自治体の防災マネジメント/鍵屋 一 □市民と行政を結ぶ情報公開・プライバシー保護/奥津茂樹 □公務職場の人・間・模・様/金子雅臣 □生きづらさの中で/玉木達也 □議会局「軍師」論のススメ/清水克士 □地方議会シンカ論/中村 健 □「自治体議会学」のススメ/江藤俊昭 □From the Cinema その映画から世界が見える
『風に立つ愛子さん』/綿井健陽 □リーダーズ・ライブラリ
[著者に訊く!/『フリーランス農家という働き方――おためし農業のすすめ』小葉松真里]
カラーグラビア
□つぶやく地図/芥川 仁
人生を彩る干し芋づくり──徳島県三好郡東みよし町西庄字桑内
□技の手ざわり/大西暢夫
沖縄の土、木、人がつなぐ誇りの技──【壺屋焼】江口窯(沖縄県本部町)
□わがまちDiary──風景・人・暮らし
深い歴史と豊かな自然が色づくまち(高知県須崎市)
□本日開園中 FUN!FUN!動物園
河北町児童動物園(山形県河北町)
【特別企画】
会計業務改革で「公振くん」が示した顕著な導入効果
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