学校を舞台とするトラブル・紛争を的確に処理し運営していく管理職のための指針として、教師が直面する様々な問題について学ぶ入門書として、お薦めの書。
1事例につき原則2見開き(4ページ分)の見やすい紙面の中に、様々な要素を詰め込んでいます。
すべての事例を「公立小学校長」「高等学校教務主任」「教育委員会教育長」「保護者」など個別に設定した立場からの質問形式にまとめ、イメージがわきやすいようにしています。
判例をもとにしている内容の確かさを持ちつつ、とっつきにくい判決文そのものの引用はごく僅かにとどめ、「Q&A」や「ポイント解説」を読むだけでも理解が進む、初心者にも嬉しい内容です。
目次
1 教務運営
教育課程/児童生徒/生徒指導/懲戒・体罰
2 人事運営
校長の権限と校務分掌/服務規律と懲戒処分/分限処分/研修・年休/その他
3 学校安全運営
安全保持義務/施設設備管理/学校施設の目的外使用/その他
4 教育制度
義務教育/学校教育/情報公開・判例年月日索引
本書収録の主なCase(全125事例)
■生徒募集時に宣伝していた道徳教育の廃止・変更は不法行為となるのか。
■卒業式における起立命令違反を理由として減給処分にできるか。
■いじめ被害生徒の自殺を予見すべきといえるか。
■出席簿の背で一回頭を叩くことが体罰に当たるのか。
■校長は報道機関の取材に対して必ず応じなければならないのか。
■職員会議の議を経ないで校務運営について決定することができるか。
■飲酒量にかかわらずすべての飲酒運転を懲戒免職の対象にできるのか。
■職務命令違反で戒告処分を受けたことから再雇用が不合格となるか。
■生徒は教師のストライキに対して損害賠償請求できるか。
■自習時間教室内の児童の負傷を予見すべき注意義務を負うのか。
■サッカー部指導教諭に落雷事故の予見可能性が認められるか。
■理科室から盗み出した薬品による事故についても学校は責任を負うのか。
■そばアレルギーの児童に対する安全配慮義務はどの程度求められるか。
■剣道実技の授業を拒否する生徒に対して代替措置を講じることができるか。
■学力診断テストの学校別成績を公開しなければならないか。
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著者紹介(肩書は発刊当時、敬称略)
加茂川幸夫…かもがわ・さちお/東京国立近代美術館長、元文部科学省生涯学習政策局長