「みる」だけの博物館になっていませんか。
いまや展示、研究だけでは成り立たなくなっている博物館。
教育普及活動が急務となっていますが、
具体的になにをどうやればいいのか手探りの状態というのが現状ではないでしょうか。
選りすぐりの博物館、美術館、動物園等の独創的な事例と
的確なアドバイスがたくさん詰まった本書は、
そんな博物館職員や学芸員の方におすすめです。
また、「総合的な学習の時間」をはじめ、
授業で博物館を採り上げることも多々あることと思います。
学芸員と教師とのコミュニケーションを確立する「博学連携」の項も盛り込まれており、
小中学校の先生方にもぜひ読んでいただきたい一冊です。
目次
・概要
実践編
1 古代人はなにを想う(横山千晶/洞口正史)
/耳飾り館子ども考古学クラブにおける体験学習
2 科学を遊ぶ(渡邊昇)
/科学館で行う直接参加型実験
3 美をみつける回路をひらく(稲庭彩和子)
/美術館での教育普及活動事例と意義
4 動物園での学び(並木美砂子)
/動物とのふれあいの中で子どもの内面を理解する
5 まちをつくる、まちをあそぶ(中村桃子/永山智子)
/子どもが主役のまちづくり/美術とまちや人とのかかわり
アドバイス編
6 ワークシート デザイン(木下周一)
/博物館での学習帳(ワークシート)のつくり方
7 子どもの発見(小野和)
/子どもを博物館に迎えるうえでの注意点や提案
8 博物館と学校のコミュニケーションをひらく(塚田美紀)
/「美術鑑賞教室」にみる学芸員と教師の関係
9 博物館の学びとは(小笠原喜康)
/博物館でのさまざまな知との出会い、かかわりの創出
付 博物館教育文献集
編著者紹介(肩書は発刊当時、敬称略)
小笠原喜康…おがさわら・ひろやす/日本大学教授
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「はじめに――博物館教育の可能性」から
私たちチルドレンズ・ミュージアム研究会では、
博物館がこれからの社会に光る個性的な知をはぐくむ
「楽校」になってほしいという願いをもって、その可能性を考えてきた。
本書は、そうした願いへの一つの試みである。
私たちの願いは、このまったく未開拓の試みに多くの方が参加してくださり、
博物館の教育について多角的な議論が高まることである。
そのことで、博物館が変わるだけではなく、
学校と博物館が交流することで学校も変わるのではないか、
そうした期待をもって、私たちは本書を刊行したい。