学習指導要領が本当に伝えたかったことは何か?
「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)、授業のよりどころとなる「教科等の見方・考え方」、新指導要領の基本コンセプト「資質・能力の育成」など、指導要領改訂に深く携わった著者が、独自の切り口で徹底解説します。
本書のポイント
・新学習指導要領が2017年3月に公示され、小学校においては令和2年度から、中学校では令和3年度から全面実施を迎えます。しかし、今回の学習指導要領については、「資質・能力の育成」「主体的・対話的で深い学び」「教科等の見方・考え方」など解釈が難しいキーワードが示されており、一方では難解と捉える向きがあったり、一方では安易に解釈してしまうなど学校現場の捉え方も様々であり、戸惑いも聞かれます。
・本書では、指導要領改訂に深く携わった奈須正裕氏(上智大学教授)による、教育学・心理学の知見をもとにした、正しく且つ分かりやすく取り組みやすい解釈と実践のヒントを提供します。
・文部科学省等の解説などでは分かりにくいキーワードも、著者独自の解説で明快となる一冊です。文体は語りかけ口調で書かれており、著者と対話しながら読み進められる感覚で親しみやすいものとなっています。
目次(抄)
第1章 コンピテンシー・ベイスという思想 [以下、主な内容]
今再び、コペルニクス的転回の時
子どもに開かれた教育課程
コンピテンシーが目指す未来
「見方・考え方」を働かせて学ぶということ
第2章 主体的・対話的で深い学びの実現
「学び」という営みの本質を捉える
オーセンティックな学習
英語教育における基礎とは何か
「伝達・確認・習熟」の授業からの脱却
第3章 資質・能力の育成と知識の質
「知識・技能」の評価
思考力の実相は知識の状態
情意に関わる資質・能力の重要性と育成可能性
マインドセットという学力
第4章 カリキュラムで発想する時代へ
教育の「人間化」とプログラミング教育
小学校の学びの何がどう問題なのか
カリキュラム・マネジメントと教科等横断的な資質・能力の育成
カリキュラム・オーバーロード
編著者プロフィール
奈須正裕(なす・まさひろ)
上智大学総合人間科学部教育学科教授。博士(教育学)。1961年徳島県生まれ。徳島大学教育学部卒、東京学芸大学大学院、東京大学大学院修了。神奈川大学助教授、国立教育研究所室長、立教大学教授などを経て現職。中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会委員。主な著書に『子どもと創る授業』(ぎょうせい)、『「資質・能力」と学びのメカニズム』(東洋館出版社)、など。編著に『新しい学びの潮流(全5巻)』(ぎょうせい)、『教科の本質から迫るコンピテンシー・ベイスの授業づくり』(図書文化社)、『教科の本質を見据えたコンピテンシー・ベイスの授業づくりガイドブック』(明治図書)など。