石原信雄回顧談 一官僚の矜持と苦節

自治官僚として今日の地方財政制度の基盤を築き、 内閣官房副長官として7人の内閣総理大臣に仕えた石原信雄氏の足跡!


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記者クラブに気を付けろ…………7勉強しておいて、段取りをしっかりやっておかないといかん」と、くどいほど言われました。‒後藤田さんはそのとき、もう元号が変わるということを覚悟していた節がありますよね?石原そうです。後藤田さんという先輩には、ありがたいことに、就任前からいろいろご注意いただいただけじゃなくて、就任後も何かというと電話がかかってきて注意されたんです。「こういうところを、気を付けろ」とか。「特に記者クラブに気を付けろ」とよく言われました。‒それはどういう点ですか。石原要するに記者が「『オフレコでいいから教えてくれ』と言っても、もの00によるぞ」と。「絶対駄目な事柄は、オフレコだからと言われても言っちゃ駄目だぞ」と。その点で失敗したことがありまして。就任してそう経っていないときに、昭和天皇の病状の問題がありますから、もし崩御ということが起こった場合には、元号問題が起こるんです。改元の問題と葬儀です。大喪の礼の問題。この二つは待ったなしなんで、準備しておかないといけない。ところが、準備しているということも言っちゃいけないわけです。陛下がまだ存命なのに、葬式の準備をしているなどということはきわめて不謹慎な話ですから。恐らく後藤田さんの念頭にあったのは、今、考えてみるとその話なんです。「それは記者が聞いても言うな」と言われたから、私も初めは用心していたんです。ところが就任してある程度経ってから、二~三か月くらいあとですかね、特に元号問題、元号を何にする


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