石原信雄回顧談 一官僚の矜持と苦節

自治官僚として今日の地方財政制度の基盤を築き、 内閣官房副長官として7人の内閣総理大臣に仕えた石原信雄氏の足跡!


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新型交付税は大間違い…………177いうことを忘れちゃいけないんだよ。新型交付税は大間違い‒竹中平蔵さんが総務大臣になられたときに、いわゆる新型交付税なるものが出てきました。要するに地方交付税の算定が非常に複雑だから、人口や面積など、できるだけ単純化した指標で需要の算定をすればいいではないかということでした。どうご覧になっていますか。石原小泉内閣のときだね。僕は、大間違いだと思う。地方交付税の算定内容が非常に複雑だというのは、各地方団体の実情をできるだけ反映させようとした努力の結果なんだ。だから平衡交付金から地方交付税になって、長年にわたって関係者が各地域の実情を念頭に置きながら、いかにして恣意的な配分ではなくて、客観的なデータで個別の事情を反映させるかというので各種の補正係数を積み重ねてきたんだ。だから、その結果、当然計算は複雑になるよ。外から見ると非常にややこしいし、役人の独善だと映るかもしれないが、そうではなくて各地域の多様性を反映させた結果なんだよ。それをエコノミストが単純化する。新型交付税もその一つだよ。「シンプル・イズ・ベスト」なんてとんでもない。せっかく長年多様性に対応すべく積み上げてきた論理を全部否定してしまって人口や面積だけで単純化する。それで済めばいいけれど、その結果何が起こるかというと、非常に特殊な事情を抱えた地方団体が犠牲になるわけだ。トータルとしてはすっきりしたかもしれないけれども、個別の地方団体を見てみると、やら


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