石原信雄回顧談 一官僚の矜持と苦節

自治官僚として今日の地方財政制度の基盤を築き、 内閣官房副長官として7人の内閣総理大臣に仕えた石原信雄氏の足跡!


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三位一体改革…………175の実情を知らない人のやったことだね。‒町村は五兆円を超える地方交付税が削減されて、あのときは「戻す」ということでやったんですね。その後総務省は、地方財政計画ベースでは一般財源総額を増やすということだったのですが、戻ったか戻らなかったか結局よく分からないままです。石原少しずつ戻してはきているけれども、地域格差は拡大してしまった。三位一体改革は、ほんとうの意味での自治行政の強化に逆行してしまった。貧乏団体の自治を切り捨てて、富裕団体をさらに豊かにした改革なんだから、こんなばかなことはないわけだ。‒三位一体改革は、政策決定の手法の一つとして経済財政諮問会議ができて、民間の有識者を交えてつくられた「骨太の方針」で決定されました。経済財政諮問会議で予算編成の枠組みも決めるという手法はいかがでしょうか。石原それは、メンバーが問題だと思う。三位一体改革のときもいわゆるエコノミストと称する人たちが経済財政諮問会議の議論をリードしていたけれど、そういう人たちは日本経済あるいは日本の財政を単一のものとしてマクロに見ている。ところが実際は、地方行政というのは個々の四七都道府県であり、一七〇〇市町村で行われているわけだ。その市町村の個別の事情をまったく無視して、要するにトータルとして官と民がどうあるべきかという感覚


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