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第六章政・官を離れて見てみると…………174三位一体改革‒平成一六年に「三位一体改革」と称して、地方交付税や補助金、税制の手直しをやりました。あのときに「構造改革」の名の下にいろいろな規制緩和もなされました。とりわけ地方団体にとっては五兆円を超える地方交付税の削減がされたわけです。「後で戻す」と言われて渋々地方団体は飲んだ。三位一体改革については、石原会長は、当時、どうご覧になっておられましたか。石原「三位一体改革」というのは、聞こえはいいけれどね。政府与党は大いに宣伝していたが、これも失敗例の一つだね。というのは、国庫補助金を減らして地方団体の自主財源である地方税を強化する。地方交付税も含めて依存財源を減らして自主財源を増やすということをやった。地方自治の前進で非常にいいことだと、当時マスコミも含めて評価する声があったが、僕のように地方行政に長くかかわって、その実態をつぶさに見てきた人間からすると、地方というものを抽象的に、観念的にしか捉えていなかったのではないかと思うね。一番欠落していたのは各地域の稼ぎ力の差に対する正しい認識だね。財政力の差は厳然としてある。補助金と地方交付税を減らして地方税を増やすといったって、理念的にはいいかもしれないけど、結果はどうなるかというと、もともと税源が豊かな東京や名古屋に地方税が集中してしまって、それ以外のほとんどの交付団体は地方交付税も減る、補助金も減るのだから「泣きっ面に蜂」で、本当に困るわけ。三位一体改革という名前に酔って大失敗。地方の実情、財政力に恵まれない地方団体