石原信雄回顧談 一官僚の矜持と苦節

自治官僚として今日の地方財政制度の基盤を築き、 内閣官房副長官として7人の内閣総理大臣に仕えた石原信雄氏の足跡!


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第一章公務員の仕事とは…………8たあともお互いにいい友人でおられた。そういう生き方が僕には合っているのかなと思うね。違うタイプは松浦功さんだね。この人はパッとやって譲らない。だから、今度は向こうにも対抗意識が出る。成果はどちらが多かったかというと、柴田さんの方だったと思うね。いただくものはちゃんといただけたと思うね。‒そして地方団体の人もそういうのをよく見ているのです。本省の財政課長、財政局長がどういう性格の人で、大蔵省に対して、あるいは地方に対してどういう姿勢で接しているかというのは、地方の人はよく見ていますね。石原地方との接し方では、同期だけれど、首藤(尭)さんと松浦さんとは両極端です。公務員行政が長かった松浦さんは、給与水準が高い団体は徹底的にたたいて、言い方ひとつとっても含みを持たせるようなこともなく突き放した。筋をビシッと言ってそれで追い返すというタイプだったから、地方の人には反発心しか残らないんだね。一方、首藤さんは、そういう団体に対しても、「それは直してくれよな」「だけど、相手があることだから一遍にはできんだろうから、少なくとも一定期間でやってくれよ」と言って、初めは大きな声を出すけれども、最後は首藤さんの意を体してやらなければという気持ちにさせるんです。そういうところは地方の人はすぐ分かるから。


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