教育ニュース

――3.11を考える――

◆東日本大震災から7年。今こそ読んでいただきたい1冊です
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┃  南三陸町 屋上の円陣
┃   ―防災対策庁舎からの無言の教訓―
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山村武彦 著
定価(本体1,800円 + 税) 2017年8月発刊

 東日本大震災。防災対策庁舎を飲み込む大津波から生還した「奇跡のイレブン」のインタビューを基に、「そのとき何が起こっていたのか」を再現したノンフィクション。
被災した方々が語る実体験から、一瞬の間に生死が分かれる災害の実態が身に迫る内容です。

 ▽本文より一部抜粋
よく見ると円陣は2つあった。防災無線のポールの根元の床面より50cmほど高いコンクリート架台に上がり、ポールを中心に集まった上段の円陣。それに寄り添うように身を寄せ合っている下段の円陣。いずれの円陣も役所のジャンパーや防寒衣を着用した職員たちが外側を固め、内側の住民、女性、若者たちを次の大波から守ろうとしているようにみえる。円陣の内側に誰がいたのかは定かでないが、屋上にいた職員は皆、地震直後から町と住民を守るための職務を遂行してきた人たちである。
3階建ての屋上まで波が来ているということは、家族が自宅にいたら助からない。よほどの高台でなければのまれてしまう。次の大波を予感し背筋を凍らせながらも、我が子は? 妻は? 夫は?親兄弟は? ぎりぎりまで近しい人を案じていたのではなかろうか。
本庁舎の赤い屋根がバリバリッと音を立てて二つに割れ、みるみる黒い水に押し流されていく。信じられない見たくない光景だった。
本庁舎の反対側に総務課長のお宅がある。家の中には課長の奥さんがいるらしく女性職員たちが、
「だめぇー」
「せっちゃん! せっちゃん!」
泣きながら悲鳴を上げている。課長のお宅の屋根がぐらりと揺らいだ。斜めに傾きゆっくり山の方に流されていく。みんながうらやむほど夫婦仲がよかった。その奥さんは愛犬2匹と2階にいるはずである。
課長は唇を噛んでフェンスから身を乗り出すようにしていた。誰も課長を見ることができなかった。町長も「徳さん……」と言ったきり絶句する。

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