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17第2章「奇跡のイレブン」それぞれの3・11達水位を示す標識が町中に立っていたことである。志津川駅前に1・9Mの標識、チリ地震津波記念公園(松原公園)内には2・6M、公立志津川病院前は2・8M、防災庁舎の前にも2・4Mの標識が立っていた。危機管理課で、「津波対策で何かアドバイスがあれば……」と促され、私はそのことを話した。「町中いたるところにあるチリ地震津波の水位標識は、モニュメントとしていくつかを残し、ほかはできるだけ早く撤去すべきではないか。注意喚起としては役立つだろうが、あれほどたくさん津波標識があると、住民は知らず知らずに標識の津波高さにとらわれてしまい、避難のタイミングや避難場所の判断を誤る心配がある。なぜならば次の津波がチリ地震と同じ津波高さとは限らないのだから」と。それは防災心理学でいうところの「アンカリング」を懸念したからである。錨(アンカー)を下ろすと船は安定する。その反面、船と錨を結ぶ鎖の長さ分震災前・2009年12月防災庁舎の標識/撮影:山村武彦1960年チリ地震津波・到達水位2.4M