

【特集:三島由紀夫というプリズム】
ありとあらゆるものが三島に流れ込み、そして三島からは新たな光が四方に放たれる――それはプリズムに似ています。単に光を波長ごとに分光するだけではなく、異なる波長の光を融合して、思いがけないイメージを映し出すこともできる比類のないプリズムです。昨年2010年で没後40年を経た三島。今あらためて、「三島由紀夫というプリズム」が放射する光のきらめきに迫ります。
・存在感の稀薄に始まる――四〇年後の三島由紀夫入門序説
/詩人 高橋睦郎
●総 論
・三島由紀夫というプリズム
/白百合女子大学教授 井上隆史
●三島由紀夫 10の光彩
・雑誌「文芸文化」の世界――古典は常に新しい
/電気通信大学教授 島内景二
・歌舞伎と文楽の間――鰯売恋曳網
/日本芸術文化振興会顧問 織田紘二
・『金閣寺』における三島由紀夫のエステティックについて――戦争と敗戦の経験との関わりを中心に
/東京大学教授 湯浅博雄
・三島由紀夫と「現実の転位」――短編「スタア」を中心に
/東京大学准教授 田尻芳樹
・草稿研究――『金閣寺』を実例に
/広島大学教授 有元伸子
/松江工業高等専門学校助教 大西永昭
/広島大学大学院生 中元さおり
・保守思想と三島由紀夫
/拓殖大学日本文化研究所長 遠藤浩一
・一九六〇年代における新右翼の形成と美的テロル――三島由紀夫と橋川文三
/日本学術振興会特別研究員 梶尾文武
・三島由紀夫における「政治の美学」――比較思想史的考察
/東京大学大学院教授 田中純
・三島由紀夫のフォト・パフォーマンス
/日本大学非常勤講師 山中剛史
・三島由紀夫と武智鉄二
/明治学院大学教授 四方田犬彦
●この人に聞く――久保田淳(東京大学名誉教授)・(聞き手)井上隆史
「言葉はあめつちを動かすか?――定家と三島」
●三島由紀夫 私はこう読んだ
・三島に惚れて、三十年
/作家 三輪太郎
・『豊饒の海』の謎――昭和四十一年の転機
/関東学院大学教授 富岡幸一郎
・生きながらえた三島由紀夫の最終章
/近畿大学教授 佐藤秀明
・作家修行の有為転変
/文芸評論家 田中美代子
・焼け跡から始まった――三島由紀夫追尋
/文芸評論家、作家 松本徹
●インタビュー ――キース・ヴィンセント(ボストン大学准教授)
「死亡兵ではなく脱走兵として――三島由紀夫におけるキッチュとキャンプ」
●没後40年企画レポート
・三島由紀夫没後四〇年における展開――刊行物、舞台、展示など
/白百合女子大学大学院言語文学研究センター 池野美穂
・「三島! その世界的影響と多文化的ルーツ」
/ヨーテボリ大学教授 トゥンマン武井典子
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【連載】
●『注解 色道大鏡』巻第二・寛文格
/立教大学名誉教授、立教新座中学校・高等学校校長 渡辺憲司