

「人は自分と病気との関係の説明や納得を求めて病院に出かけるが、多くの場合診断名をもらって帰ってくる」と言われる時代です。
本号ではナイチンゲール論から看護の発展を紐解き、難民キャンプや臓器移植といった場で広がりをみせる看護職の活躍や、がん看護や感染看護といった高度専門医療を担うナースを紹介します。
また、看護を受ける側からの声も掲載し、最良のナースが育つことの大切さを看護の担い手と受け手が共に考えました。
野地有子、山崎久美子/編集
ISBN:978-4-324-08757-2
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●本特集号の道案内――総説に代えて
/防衛省人事教育局付兼防衛医科大学校教授 野地有子
/防衛省人事教育局衛生官付兼防衛医科大学校准教授 山崎久美子
●看護の発展――ベスト・プラクティスを目指す
・看護師養成と看護学の教育・研究
/聖路加看護大学教授・看護学部長兼看護学研究科長 菱沼典子
・フローレンス・ナイチンゲールの伝統を継承する世界の看護
/アセナ国際学術研究所ディレクター 久間圭子
・韓国における看護の発展
/韓国看護師協会会長、前梨花女子大学看護学部長・教授 シン・ギョンリム
・市民参加の看護の展開 新しい看護提供システムの構築――まちの保健室を運営して
/野地有子
・政策医療を支える国立看護大学校の教育――田村やよひ氏に聞く
/国立看護大学校長、前厚生労働省医政局看護課長 田村やよひ
/聞き手 野地有子
●看護職の活躍する場の広がり
・働く意味と健康阻害――看護職の予防的視点と働き方
/(有)産業心理コンサルタンツ代表 箕輪尚子
・命と家族の誕生を育む営み――助産師という仕事
/東京大学大学院医学系研究科家族看護学分野専任講師 山崎あけみ
・臓器移植コーディネーターの仕事――看護のキャリアを活かして
/日本臓器移植ネットワーク医療本部長 小中節子
・私と災害看護――湾岸戦争難民キャンプの場で「看護」の意味を知る
/NPO法人災害看護支援機構理事長 山崎達枝
・空飛ぶナースの仕事――搬送看護師について
/インターナショナルクリニック 山本ルミ
・迷彩服を着た看護師の活動
/元自衛隊中央病院看護部長 北山玲子
●高度専門医療を担うナース
・がん看護の展開――専門看護師の立場から
/聖路加国際病院がん看護専門看護師 中村めぐみ
・精神看護の発展と精神看護専門看護師の役割
/熊本大学大学院保健学教育部精神看護学教授、精神看護専門看護師 宇佐美しおり
・感染症対策と感染看護
/琉球大学医学部保健学科成人看護学I准教授 大湾知子
・「ナースプラクティショナー(診療看護師)」教育現場の取材を通して
/NHK報道局・報道番組センターディレクター 松原恭子
・米国で活躍するナースプラクティショナー――田中勝子氏に聞く
/米国シアトル退役軍人病院、ナースプラクティショナー 田中勝子
/聞き手 山崎久美子
●看護を受けるということ
・医療の不確実性と取り組んで
/山崎久美子
・患者の声を聴き続けて
/NPO法人ささえあい医療人権センターCOML事務局長 山口育子
・看護師についての、社会学の一視点
/東京経済大学非常勤講師 越智啓三
●看護教育を見つめる
・看護職を目指す学生にリベラル・アーツ教育が必要な理由
/東京医科歯科大学名誉教授 佐々木武
・看護教育に期待すること――教育学の立場から
/岡山大学大学院医歯薬学総合研究科博士課程 福本良之
・看護職が現場で抱えるジレンマと倫理問題
/国際基督教大学客員教授 成澤光
・安全を思想する看護師を育てること
/横浜市立大学附属病院 橋本廸生
●コラム・エッセイ
・看護教育について思う
/日本赤十字社医療センター名誉院長、東京大学名誉教授 森岡恭彦
・看護を科学する
/NPO知的人材ネットワークあいんしゅたいん理事長 坂東昌子
・“プラス1”の笑顔と言葉を
/NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長 辻本好子
・新しい看護理論の発信を
/日本ペンクラブ会員、元週刊医学界新聞編集長 向山肇夫
・エールの言葉
/聖路加国際病院名誉院長、聖路加看護大学名誉学長 日野原重明