

和様の書とは、中国風の書(唐様)に対して、日本風の書のことを指す言葉です。
日本には独自の文字がなかったので、日本風の書が初めからあったわけではありません。
中国や朝鮮半島から日本に漢字が移入されました。
同時に、中国や朝鮮半島の書法も移入されたのです。
漢字という文字は、その成立の初めが万物事象をあらわす象形文字であったため、その字形は複雑で多様な美しい造形を持っています。
また、毛筆の発明以後は、その豊かな表現機能もあり、書はたえず美的追及がなされてきました。
島谷弘幸/著
ISBN:978-4-324-08728-2
--------------------------------------
●はじめに
日本人と文字の出会い/日本語表記のはじまり/仏教の渡来と写経/王羲之書法の将来と三筆
●和様の成立と三跡の書
政治・文化の和風化/手本/菅原道真と三跡/小野道風/藤原佐理/藤原行成/藤原道長と藤原公任
●和様の写経
一巻経/一品経/消息経/その他の装飾経
●古筆
1 仮名の成立(万葉仮名/草仮名/女手/片仮名/葦手)
2 女手の完成
3 世尊寺家の書と世尊寺流(世尊寺家の書/藤原伊房/藤原定実/藤原定信/藤原伊行/世尊寺流の書)
4 仮名の展開
●平安後期から鎌倉初期の書
法性寺流/後京極流から弘誓院流へ/歌人の書
●鎌倉中期から室町時代の書
鎌倉時代中期から南北朝時代の書/室町時代の書
●安土桃山・江戸時代の書―寛永の三筆と和様の展開
近衛信尹/本阿弥光悦/松花堂昭乗/烏丸光広/和様における中国文化の影響/御家流の流行/復古和様
●さいごに
●附論 書の見方
●図版目録
●参考文献