

十二支をあつかう著書の多くは、十二支各動物の図像や概念等について個別に考察・記述するものがほとんどです。
しかし本書は意匠シリーズとして企画されたものなので、十二支をセットとしてあらわす作品のみを取り上げます。
個々の動物の意匠については本誌でいずれ企画されるでしょうし、こうした類書はとても多く、南方熊楠『十二支考』のような博捜・深遠な書物もわが国には存在します。
もとより筆者の能力のおよぶところではなく、狭くて浅い知識のみです。
近年、キトラ古墳の壁画に十二支像が描かれているのが発見されると十二支像の源流等に関する研究もさかんになりつつあり、本書でも先学の研究に負うところは大きいものがあります。
ただ十二支の意匠をつけた作品をとりあげたものは少なく、というよりこれを網羅的に集めることはかなり困難を極めるのですが、本書では十二支の意匠をつけた代表的な作品を日本古代から近世に概観いたします。
川瀬由照/著
ISBN:978-4-324-08727-5
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●はじめに
●東アジアの十二支
十二支と動物/朝鮮半島の十二支
●日本の十二支
墳墓の十二支/鏡中の十二支/十二支彩絵布幕/白石鎮子/十二神将と十二支/世流布像/十二類合戦絵巻/十二支図/浮世絵中の十二支/建築物中の十二支/工芸意匠中の十二支
●図版目録
●参考文献
●特別寄稿
密教図像にみられる十二支について
/内田啓一