『平成23年版 日本の防衛』 防衛白書 電子版

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「特集 東北大震災への対応」

 11(平成23)年3月11日14時46分、三陸沖を震源とする最大震度7の大地震(国内観測史上最大のマグニチュード9.0)が発生した。岩手県・宮城県・福島県では海岸沿いの集落が地震により発生した大津波によって広範囲にわたり水没したほか、東京電力福島第一原子力発電所では原子炉などの損傷によって放射性物質が漏出する事故も複合して起こるなど、広域にわたり大規模かつ激甚な被害をもたらした未曾有の大震災となった。
 防衛省・自衛隊は、地震発生直後の14時50分に防衛省災害対策本部を設置するとともに、航空機などによる情報収集を行った。15時30分には第1回防衛省災害対策本部会議を開催、18時00分には、大規模震災災害派遣を、19時30分には原子力災害派遣をそれぞれ防衛大臣から自衛隊の部隊に命じた。これを受けて、自衛隊は、地震発生当日から約8,400人の態勢を動員し活動を行うなど、陸自多賀城駐屯地や空自松島基地などが被災し、航空機や車両が水没する被害を受ける中でも、可能な限りの人員・装備を投入して、被災者の人命救助のため、大規模かつ迅速な初動対応を行った・・・
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アジア太平洋地域の情勢―協力関係の深化と不透明・不確実な要素

わが国周辺の安全保障事象
 

 相互依存関係が拡大・深化する中、安全保障課題の解決のため、国家間の協力関係の充実・強化が図られており、特に非伝統的安全保障分野を中心に、問題解決に向けた具体的な協力が進展しつつある。
  他方、中国、インド、ロシアの国力の増大がもたらすグローバルなパワーバランスの変化は、この地域において顕著に表れている。わが国周辺地域には、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が集中しており、多数の国が軍事力を近代化し、軍や関係機関による活動を活発化させている。また、領土や海洋をめぐる問題や、朝鮮半島や台湾海峡などをめぐる問題が存在するなど、不透明・不確実な要素が残されている。
  北朝鮮は、大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発、配備、拡散などを継続するとともに、大規模な特殊部隊を保持しているほか、朝鮮半島において軍事的な挑発行動を繰り返している。このような軍事的な動きは、わが国を含む地域の安全保障における喫緊かつ重大な不安定要因であるとともに、国際的な拡散防止の努力に対する深刻な課題となっている。大国として成長を続ける中国は、世界と地域のために重要な役割を果たしつつある。他方で、中国は国防費を継続的に増加し、核・ミサイル戦力や海・空軍を中心とした軍事力の広範かつ急速な近代化を進め、戦力を遠方に投射する能力の強化に取り組んでいるほか、周辺海域において活動を拡大・活発化させており、このような動向は、中国の軍事や安全保障に関する透明性の不足とあいまって、地域・国際社会の懸念事項となっている。ロシアについては、極東地域における軍事力の規模を冷戦終結以降大幅に縮減しているものの、軍事活動は引き続き活発化の傾向にある。
  このような中で、米国は、日本、韓国、オーストラリアなどの同盟国およびパートナー国との協力を一層重視して、二国間・多国間の枠組を活用した安全保障関係の強化を図るなど、この地域への関与を強めている。このような取組は、アジア太平洋地域の平和と安定に重要な役割を果たすとともに、米国がグローバルな安全保障課題に取り組むための基盤ともなっている・・・
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